・黒色便=上部消化管出血
・鮮血便=下部消化管出血
というのは医学生でも知っている知識で実臨床でもほぼその通りかと思います。
しかしながら世に例外はつきものです。
上部消化管出血による鮮血便
鮮血便のおよそ14%が上部消化管出血
(Am J Gastroenterol.1997;92:231-5.)
⇀大量の出血で鮮血便になる可能性がありバイタル不安定な鮮血便や起立性低血圧がある場合、BUN/Creの上昇は上部消化管出血も考慮か。
(UpToDate®"Approach to acute lower gastrointestinal bleeding in adults")
下部消化管出血による黒色便
上部消化管出血における黒色便は感度77-95 特異度81-87 LR5.1-5.9
⇀やはり基本は上部消化管出血を疑う
(JAMA.2012 Mar 14;307(10):1072-9. )
小腸、右側結腸の出血で黒色便になることがある。
(Dig Dis Sci.1995;40:1614-21.)s
消化管出血が疑われる上下部内視鏡で陰性の患者、黒色便のある患者は無い患者に比べて、小腸近位に出血源が見つかることが多い(56.1% vs 34.8%)
多変量解析では約2倍(OR 1.97, 95% CI 1.17-3.33, p = 0.010)
⇀じゃあ残りはどこから出ているんだ、となりますが。。
(Dig Dis Sci. 2018;63(5):1280-1285.)
おまけ:鉄剤、サリチル酸ビスマス(整腸剤、日本には多分ない)、いかすみ、ブルーベリー、ダークチョコクッキーなどで便が黒くなることがある。
とはいえ、これらを服用している患者の下部消化管出血が黒色便になるという記載はありませんでした。
じゃあ、これを実際に臨床に落とし込めるか、というとまあ非消化器内科医はあんまり考えなくてよいのかもしれません。
強いて挙げるなら鮮血便を起こす上部
消化管出血はやばいので、そのあたりは意識できるといいかもしれません。
この前久々にイカスミパスタを食べた後の自分の便をみてふと黒色便のどれくらいが上部消化管出血以外なのだろうと思ったのがきっかけで調べてみましたが、黒色便だけを取り扱ったデータはさすがに少なそうでした。。
ではまた。
結論:赤と黒で対比になっている最古のものは雛人形の右大臣と左大臣
ショックの時に、脾臓は収縮する
そんな中Twitterで、「ショックの際に脾臓は収縮する」ってのをつぶやいている人がいてマジかよと思い調べてみました。