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2023/06/22

トマトが原因で鉛中毒になる?

スミヨシです。



みんな大好きQuizKnockの動画を見ていたら、気になることを言っていました。

なんでも、昔トマトは毒があると思われていたようです。

しかしながら、その理由は食器に含まれる鉛がトマトの酸に溶け出した→鉛中毒を発症していた、とのことです。




恥ずかしながら初耳でした。
まさか食器が原因で鉛中毒になるとは。

で、同時に新たなクリニカルクエスチョンが発生しました。

「それなら現代でもそれなりに鉛中毒いるんじゃね?」

トマト側は品種改良がなされたようですが、食器には今も鉛が含まれているものがあるかと思います。
ただ、後日まとめようかと思いますが、鉛中毒はそれなりに珍しい病気です。
福知山にいた際にはある理由で鑑別にあげていましたが、日本全体ではそうそう見ない疾患のはず。

そこで、食器が誘因の鉛中毒があるのか調べてみました。


血中鉛高値の危険因子

(Biomed Res Int.2017;2017:4934198. )

中国・泰州市の3-6才の2018人の小児が対象

まず、集団の血中亜鉛濃度の中央値は4.6µg/dL
※CDCは小児鉛血中濃度3.5µg/dL以上を高値とみなしている

⇀10µg/dLを超える亜鉛濃度をもつ群の危険因子をしらべた。



母親の教育レベル、父の職業、化粧への暴露(母の頬にキスをするから?)、住宅の床などがある
その中に「Decorative tablewareの記載がある [p=0.0247  95%CI of OR1.110 (1.013–1.215)]

もともと鉛汚染地域ではあるが、食器による影響はあるのかもしれない。


実際に食器が原因の鉛中毒はある?

ひとまず食器が血中鉛を上昇させうるというのはわかりました。
じゃあ、実際にそれで発症するような、特に成人はいるのかしらべてみました。

Case 12-2014 — A 59-Year-Old Man with Fatigue, Abdominal Pain, Anemia, and Abnormal Liver Function

(NEJM.2014;370:1542-50. )

NEJMのケースレポートで見つけました。
当然この流れなので鉛中毒なのですが、なかなか難しいプレゼンでしたので是非目を通していただければと思います。
「MCVの低い腹痛は鉛中毒を疑う」
というパールを脱しない私好みの症例です。

さて59歳男性の鉛中毒(910µg/dL)なのですが、自宅で勤務している方で、高層ビルに住んでいる、パートナーは血中鉛の上昇無しという方で暴露源として患者のみ使用する食器が調べられました。



イタリアの塗料つきのマグカップとロシアのアンティークスプーンを使用していたようです。
⇀これらを検査したところ、マグカップの1%、スプーンの50%が鉛で構成されていた、とのこと。

よく調べさせてくれましたね。。

というわけで確定では無いですが食器が原因で鉛中毒になりうる、というものでした。


日本での鉛をつかった食器は??


ここまで調べて、ある事実に気が付きました。
どうやら2008年に食品衛生法が改正され、日本の陶磁器や調理器具などの鉛・カドミウム溶出量が厳格になったようです。
日本の食器ではあまり鉛中毒は起こさないかもしれません。

まとめ
日本では食器による鉛中毒は起こさないかも。
ただし、輸入品の食器・陶磁器には注意が必要

ではまた。


結論:毒が無かろうとトマトはまずい

2023/06/09

食道カンジダは発熱する?

 スミヨシです。





化学療法中で発熱を伴う咽頭粘膜炎のある患者のコンサルがありました。

抗菌薬投与を行いつつ、HSVやCMV、カンジダなども注意しようという方針になったのですが、そこで、食道カンジダは発熱の原因になるのか、という質問をされました。

自分は答えられなかったのですが、熱源になりうる、という話を聞いたので調べてみました。


食道カンジダは発熱する?

ひとまずUpToDate®やIDSAガイドラインを検索しましたが、食道カンジダの症状に熱の記載はありませんでした。

(Clin Infect Dis.2016;62:e1-50. )

("Esophageal candidiasis in adults" UpToDate®)


いくつかレビューも見てみましたが発熱が書いてあるものはなさそうでした。。


Challenges to "Classic" Esophageal Candidiasis: Looks Are Usually Deceiving

(Am J Clin Pathol.2017;147:33-42. )

Oropharyngeal candidiasis as a marker for esophageal candidiasis in patients with cancer

(Clin Infect Dis.1998;27:283-6. )

臨床症状 「発熱」はゼロ

発熱がゼロと言っても、そもそも発熱自体カウントされておりませんでした。



Systemic antifungal therapy for oesophageal candidiasis – systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

(Int J Antimicrob Agents.2022;59:106590.)

わりと大きめのシステマティックレビュー。

これの元文献も見てみましたが熱をカウントしているものはなさそうでした。


ケースレポートレベルでは発熱がある

レビューがだめならケースレポートは、と見てみるといくつかヒットしました。

Candida esophagitis with fever alone in a patient with stroke

(Brain Inj. 2012;26:896-8. )

脳卒中患者の発熱のみ呈したカンジダ食道炎。

文脈には合ってそうですがアブストのみです。

発熱を伴う食道カンジダはいくつかケースレポートはありそうでしたが、純粋に食道カンジダだけであったか精読するのがめんどくさい 難しかったです。


小児の食道カンジダは発熱を伴う

いろいろ調べていると小児の食道カンジダのレビューでは熱を集計していそうでした。


Esophageal candidiasis in human immunodeficiency virus-infected pediatric patients after the introduction of highly active antiretroviral therapy

(Pediatr Infect Dis J.2002;21:388-92. )

米国国立がん研究所

9人の18歳以下のHIV患者における、18の食道カンジダエピソード




FEVERが10例(55%)


Esophageal candidiasis in pediatric acquired immunodeficiency syndrome: clinical manifestations and risk factors

(Pediatr Infect Dis J.2000;19:729-34. )

上記と同施設

36人の小児のHIV患者における、51の食道カンジダエピソード



Fever 15例(29%)


HIV患者ではありますが、どうやら小児の場合は29-55%ほどで熱を伴いそうです。


まとめ

小児のHIV患者の食道カンジダは熱が出ることがある

成人の場合はわからないけど、報告はあるし、機序がそんなに違わないなら熱が出てもいいんじゃないでしょうか。。


嚥下時痛や胸やけが訴えられない患者の発熱には要注意ですね。

ではまた。


結論:ええかんじ食堂というSNSでの主張が強そうだけど美味しそうな店があっていこうか迷っている。