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2021/06/06

【症例】経鼻胃管挿入後の呼吸困難

経鼻胃管が挿入されている人

スミヨシです。

昔、違う科で入院していた患者の対応をしていて、こんなのもあるのね、と勉強になった症例です。

最近話題になったので、改めて調べてみました。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

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80歳男性 

脳出血後寝たきりの方。喘息やCOPD、心不全の既往なし。

誤嚥性肺炎で入院。絶食管理で抗菌薬投与。

嚥下機能改善とぼしく、経鼻胃管挿入し、転院調整

肺炎は改善したが、入院2週間後から頻呼吸+喘鳴 

Xp、CTでは肺野に異常なし

鑑別は?

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STさんからリハビリDrに相談、Sofferman症候群が疑われ、耳鼻科紹介。

ソルコーテフとアンピシリンスルバクタム投与開始され、経鼻胃菅を抜去

両側声帯麻痺、披裂部の浮腫があった。

気管切開は施行しなかった。



Sofferman症候群(Nasogastric tube syndrome)

経鼻胃菅留置者にまれにおきる、両側の声帯麻痺、周囲の浮腫、気道閉塞。
1981年、Soffermanらによって提唱(こういった病態が起こるのはそれよい以前に示唆されていたみたい)。

嚥下の際に喉頭部が経鼻胃菅と擦れる、輪状咽頭筋の収縮で輪状軟骨後板に刺激が入る、仰向けの患者で、経鼻胃管が輪状軟骨と頸椎にはさまれる、などで起こると考えられている。
(Ann Otol Rhinol Laryngol.1981;90(5 Pt 1):465-8.)

経鼻胃管を入れてから7-34日で発症。12時間程度でおきるものもあるかも
(臨床神経 2015;55:555-60 )


治療 

NGチューブ抜去は病態上必須、気道閉塞あれば気管切開術
慣習的に、PPI、抗菌薬、ステロイドが投与されるが、定まった治療方法はなし
(Head Neck 2001; 23: 59–63. )





知らないと、耳鼻科コンサルトが思い浮かばないかもしれないので、知っておいてバチはあたらないかもしれません。
治療方法はなんともいえません。日本では喉頭浮腫に対するステロイドが耳鼻科領域でよく使われていますし、実際に自分が当たったら投与することになるかとは思います。
抗菌薬も、どれほど有効化はわかりません。。

日本の文献を調べる時には、NGチューブ症候群でしらべると、それなりに出そうです。
臨床蓄積もすくないですが、病態が有名ではないので、過小評価されていることも示唆されているので、もし見かけたらケースレポート書けるかもしれません。

人にいっておいて自分は何も書いていない始末です。すみません。論文かいたら専門医くれるとかなら急いでかけるのですが。。

ではまた。


2021/06/02

ホスホマイシンはESBL産生菌に効く?

スミヨシです。

ESBL産生菌に対する内服薬って悩ましいですよね。。

レボフロキサシンが効けばいいですが、そうじゃないときとか。

オーグメンチンも、感受性Sになっていたとしてもそれは試験管内の話ですし。。


昔、クリニカ出版のINFECTION CONTROLという雑誌に、


「感染コントロールが落ち着いているなら、ST合剤、ホスホマイシン、ミノサイクリンが選択肢にはなりえるかもしれない。」


なんて書いたことがあるんです。(2020 vol.29 no.7 抗菌薬適正使用のポイント5)

ただ、書いといてなんですが、私自身はホスホマイシンで治療したことないんです。。


ホスホマイシンは感受性あればUTIの治療はできる?

多剤耐性腸内細菌に対するホスホマイシンの感受性を調べたメタアラライシス

ESBL産生E.Coliの96.8%(1604/1657)

ESBL産生K.pneumoniaeの81.3%(608/748)

以上で感受性あり。


また、この論文中で、ESBL産生E.coliの下部のUTIは93.8%が改善した、と。

(Lancet Infect Dis 2010;10:43-50)

ホスホマイシンは3g/dayなら保険適応があり、膀胱炎なら1回投与でよいかと思います。

これだけみると、ホスホマイシンいいじゃんってなるのですが。。

日本と海外のホスホマイシンは違う。

海外の論文で出てくるホスホマイシンは、fosfomycin tromethamine

一方日本にあるホスホマイシンは、fosfomycin calcium

何が違うかというと、bioavailabilityが違いすぎです。

fosfomycin tromethamine  vs fosfomycin calcium→40%vs12% 

(J Infect Chemother 2016;22(5):273-80.)

ようするに、日本のホスホマイシンはそもそもみんなが知っているホスホマイシンではないので、よその臨床データ使えないです。。


まあ、実際bioavailabilityが低くても、尿路感染程度であれば尿中濃度高くなって、効果があるかもしれませんし、DU薬と呼ばれるような、第3世代セフェムも、肺炎の治療効果があることはわかってますし、絶対ダメ、てなことはないと思います。

ただし、ほかの選択肢があればまずはそっちでいいと思います。

STもだめ、キノロンもだめ、MINOもだめ、でも内服でいきたい、みたいなときのやむをえない選択肢ですかね。。


実は、今の職場では使用している先生いますし、なんなら改善してる症例もいそうなので、ちょっとホスホマイシンを見直しているところです。

でも自分ではだせないなあ。。


ではまた。


結論:下痢にホスホマイシンはいらない