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2024/08/28

【症例】30歳女性 台風がくるから頭痛がしそう

スミヨシです。


台風は結局何曜日に来るのか問題が勃発しているさなかですね。

台風は低気圧で、内科外来をしていると低気圧になると体調が悪い、という人がたまにいます。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

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30歳女性

台風が近づいており、頭痛がしそうな感じがする

数日前からなんとなく顔の圧迫感があり、それが増強している

昔からこういった症状がある。

市販の「低気圧の薬」を飲んだがあまりよくならず、処方希望


どうする?

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まず、みなさんは「低気圧の薬」ときいて何かパッと思いつくものでしょうか。

低血圧はないですよ。低気圧です。

まさかアセタゾラミドとか?とか思いながらパッケージを見せてもらいました。




その名もテイラック!!!

どうやら五苓散のようです。(https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2020/200325_01/


そりゃまあ、効かないこともあるでしょう!




まあ、ロキソニン®をお渡しして帰ってもらおうかなあとも思ったのですが、自分は成人の頭痛でこれまで未検査の場合にはCTをとろうかなと考えておりますので撮像しました。





副鼻腔炎やないかーい!!

ですぐに外来フォローもできないだろうなあと思いながらAMPCとNSAIDsを処方しました。


低気圧による頭痛

ひとまず低気圧による頭痛について調べてみました。

なんかこの手のものって日本語のものはすごい出るんですが、確立された概念なんだろうか、と思ってたら以下がヒットしました。


Meteoropathy: a review on the current state of knowledge

J Med Life. 2023 Jun;16(6):837-841.


Meteoropathyとは気象病?とでも訳すのでしょうか。

とりあえず気象病は一次性と二次性があるということがわかりました。

あとはなんだか、うつ病に関連があるかも、血友病の出血がふえるかも、人工膝関節術後の患者は気候の変動で痛みがますかも、みたいなのは書いてましたが全体的にはなんかよくわからないけどNSIADsがいいかもみたいな内容でした。


他には頭痛の要因として天候が作用するかをしらべた研究がありました。

ボストンの大学病院を頭痛で受診した7054人の患者を対象

病院受診前24時間の気温が5℃上昇するとERでの評価が必要な頭痛を生じるリスクが7.5%増加(OR1.075; 95% CI, 1.021–1.033; p = 0.006)

また、気圧は5mmhg上昇すると頭痛は減った(OR 0.939; 95% CI, 0.902-0.97; p = 0.002)

(≒低気圧だと頭痛の受診が減った)

Neurology. 2009;72:922–7.

ちなみに気圧が減ったら片頭痛以外の受診が増えたようです。

気圧に関連する頭痛がある、もしくは片頭痛以外で低気圧で増悪する頭痛の因子があるのかもしれません。

てか低気圧で片頭痛が増悪する気もするのだけどどうなんでしょうか。。


あと、副鼻腔炎は気圧と関係ない!!多くのweb pageは間違っている!というものを調べたものもありました。


(World J Otorhinolaryngol Head Neck Surg.2023;10:18-23. )


まとめ

・低気圧で頭痛の受診が増えるかもしれない


ではまた。


結論:最初から最後まで読んでも私が一体何を伝えたかったのはよくわからない。

2024/08/21

CRBSI(カテ感染)は複数菌感染のことが割とある

スミヨシです。




以前、ある病院のある患者のカルテで、

血液培養からCandida albicansとKlebsiella pneumoniaeが検出。複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的。尿培養は陰性。腹腔内感染の検索を行う

という内容の記載をみかけたことがありました。

まあ腹腔内感染の検索を行うというのはやぶさかではないのですが、それよりも

複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的

が気になりました。そんなの聞いたことないけど、かといって多菌種感染の頻度とか言えないなあ、と思ってしらべました。


CRBSIにおける多菌種感染


ひとまず、皆大好きUpToDate®を調べると、さっそく載っていました。


"Gram-positive organisms are responsible for most hemodialysis catheter-related infections. Coagulase-negative staphylococci and S. aureus together account for 40 to 80 percent of cases in most studies [4,22,28-32]. Gram-negative organisms account for 20 to 40 percent, and polymicrobial infections are implicated in 10 to 20 percent of all episodes of catheter-related bloodstream infections (CRBSIs) [4]."

というわけでCRBSIの10-20%は多菌種感染ですね!






元文献は有料で、大学で見れませんでした。。
Dialysis catheter-related bacteremia: Treatment and prophylaxis
円安の時代にちょっと論文買ってまで見る気しないですね。。
すいません。。

透析カテーテルのデータのようですが、まあ、通常のCVにも外装していいデータだと思っています。


ちなみに他のものとしては、

・在宅CRBSIの58.6%がpolymicrobial
・外来でCV挿入されている小児の菌血症の37%がpolymicrobial
・小児ICUのCRBSIの48%がpolymicrobial


なんて感じでした。
小児だと少し複数菌感染多いのでしょうか。

いずれにせよ、「複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的」といっていいpopulationはあまりなさそうな印象です。

自分としては、
・代替診断の無い状況で、複数菌菌血症であることを言い訳に、カテーテル感染を否定する(抜くべき場面でカテを温存する)のはよくない。
・ドレナージできるかもしれない病変がある状況での複数菌菌血症を、カテーテルのせいにするのはよくない

なんて思った次第です。

まとめ

CRBSIは割と複数菌感染のことがある。
Candida生えてるしカテ抜こうと言ってよさそう!

ではまた。

結論:「catheter」って「カテーテル」じゃなくて「キャスィター」みたいな発音じゃないかと最近疑い始めている。

2024/08/11

食道の魚骨の確認はCTがXRに勝る

スミヨシです。



この前久々に魚骨による食道異物をみました。

みただけで内視鏡の先生に対応をお願いしたわけですが。


正直消化管の異物の確認はCTでいいと思っていますが、もしかしてXRでもよいのかなあと思って調べてみました。


CTはXRにくらべて魚骨の確認に有用?

調べてみたら魚骨関係はアジアが多く報告しています。

Proposal for methods of diagnosis of fish bone foreign body in the Esophagus

Laryngoscope.2015;125:2472-5.

魚を食べた後の異物感を主訴に韓国の救急orクリニックに受診した286名

198名は口腔や咽頭に魚骨があった。

口腔や咽頭に異物がみえず、症状が持続する88名を対象にXR+CT

66例が画像で魚骨を確認できた。

40例が通常の魚骨 22例がえら 4例が顎骨


CTは65/66例 (98.5%) で検出

XRは30/66例 (45.5%) で検出 

先行研究ではXRの感度は23.5–54.8%でその範疇に入っている。

※存在したかは不明だがCTでもXRでも確認できなかったけどほんとは魚骨のある症例は分母から抜けているので真の意味での感度はこの研究では出せない。


ちなみに原文を読めなかったのですが、日本の研究で、水袋に魚骨をいれてXRとCTを撮像したらCTはよかった(?)というのがあって興味深いです。

※この論文はそもそもは32人の患者に内視鏡検査⇀実際に骨があった25例を対象。XRではこのうち14例で骨が観察できなかった、というもの。

(J Laryngol Otol.1998;112:360-4.)


まとめ

そういうわけで、まあ、こんなの研究にするまでもなくCTの感度がよさそうというのは分かったうえで、こういった研究があるのは心強いですね。

魚骨による食道異物には胸をはってCTを撮像しましょう。

症状やvitalでスクリーニングできるのかもしれませんが、消化管穿孔や膿瘍の合併例もあるのでそういった点でもCTがよいと思います。


あと私は全例内視鏡が必要と思っていますが、どういった症例で経過観察が可能かはよくわかりませんでした。

ではまた。


結論:フィッシュボーンDのDは意味不明

2024/08/09

E型肝炎について

2022/1/30 初回
2024/8/9 更新


スミヨシです。

急性肝炎って、病歴も大事ですが、採血してみないとわからないこともおおいと思います。
で、大都会札幌で育った私は、自然と「肝炎検索採血セット」にE型肝炎が入っていました。

京都にきて、肝炎を診たときに、

HEV出す?出さない?

で実はこっそり悩んでいました。
京都にゼロとはいわないですけど検査前確率が低ければおそらく必要ないですよね。
これって北海道で医学をたしなんで本州に来た内科医はあるあるなのでは思います。

そういうわけでE型肝炎について。

E型肝炎

IDWR 2004年第13号


E型肝炎ウイルスによる肝炎
原則急性で、慢性化はしない
糞口感染で潜伏期は2-10週間、平均6週間

大きく、4つの遺伝子型
HEV genotype 1,2 ⇀水系感染
HEV genotype 3,4 ⇀人獣共通感染

基本的には水、衛生、衛生、医療サービスへのアクセスが制限されている低中所得国での感染が多い。

イノシシ、シカ、豚(特にレバー)の喫食がきっかけになる。
国内では北海道の症例が多い。
(北海道は多分イノシシは少ないけど、豚が多い。シカも食べるけど、シカからの感染がどれくらいかは不明)

札幌市HPより抜粋
2016年 全国 356例 北海道 107例(うち札幌35例)
2020年 全国 449例 北海道 83例(うち札幌27例)
2023年 全国 552例 北海道   60例(うち札幌13例)


他では西表島民が突出して抗体陽性率が多い。
多分、イノシシ猟・生食の影響。
※ただ、沖縄県のE型肝炎の報告が多いわけではなさそう
(沖縄県住民へのE型肝炎ウイルス感染経路の推定:沖縄県衛生環境研究所報 第43号(2009))


輸血感染も報告がある。
そのため北海道の輸血はE型肝炎がスクリーニングされている。
※日本全体でも2020年8月からスクリーニングをされている
(Japanese Journal of Transfusion and Cell Therapy.2020;6(3):531-7.)

症状

発熱、吐き気、腹痛、嘔吐、食欲不振、倦怠感、肝腫大など、肝炎の一般的な症状
黄疸も40%で出現
(Clin Microbiol Rev.2014;27(1):116-38.)

劇症型の場合もあり、特に妊婦は死亡のハイリスク(1型が多い)
(Ann Intern Med.2007;147(1):28-33. )

検査

日本ではHEV-IgAが保険適応。(おそらくIgMと感度、特異度がかわらない)
陽性ならPCR

治療

対症療法
劇症型では肝移植も。

免疫抑制患者では3,4型の慢性化も指摘されている(6か月以上血液or糞便からHEV-RNA検出)
⇀リバビリン600-1000mg 12週間
(J Viral Hepat.2016;23(2):68-79. )

予防

流行地域では手洗い、清潔の保証がない飲料水、氷、非調理あるいは加熱不十分な肉類、貝類を喫食しない。

加熱
食品の中心部を75°Cで1分間以上又はこれと同等の加熱
(厚生労働省が、飲食店、家庭等で食品を加熱調理する場合に推奨)

中国にはワクチンがあるが、日本では使用できない。


北海道や西表島、石垣島で内科をやるなら、是非検査の検討を。
というか海外渡航歴には北海道と沖縄を入れた方がいいかもしれませんね。
ではまた。

結論:感染症勉強するとスナック菓子くらいしか食べられなくなる。