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2022/12/27

偽性低TSH血症を起こすサプリといえば?

スミヨシです。

この前薬剤性の甲状腺機能異常が話題になりました。

甲状腺機能異常を起こす薬剤はアミオダロンをはじめ、いくつかあがると思います。

しかし、偽性低TSH血症(いわば偽性甲状腺機能亢進症)と言えば結構特異的かと思います。

ご存じでしょうか。



正解は。。





ビオチンですね!


VitB7らしいです。

日本ではあまりメジャーじゃないですが、皮膚にいい感じの宣伝が多く、美容食品、サプリに含まれていることが多いようです。



で、このビオチンが不思議な力で、検査上での低TSH(+FT4高値)を来すわけですね。


MKSAPには毎回ビオチン関連の問題が入っています。
甲状腺機能亢進の人は女性も多く、美容サプリの使用は効いてみるといいかもしれません。
採血前に2-5日休薬で正常値に戻るっぽいです。



薬剤性の偽性甲状腺機能異常:MKSAP19より


いつか出会ったらGIMとかに出したいなと思って狙っていますがなかなか出会いません。
ビオチンはやっていないんですかね。

皮膚は何をどう考えても薬剤より保湿と思っていますが、もしビオチンを飲んでいる人に出会ったら是非甲状腺機能を測定してみてください。


ではまた。


結論:「ビオチン サプリ」で検索したらおっさんYoutuberしか出てこなかったので多分マジで流行っていない。


参考:おっさんYoutuberたち

2022/12/25

クリスマスはサンタが来るから小児救急受診数少ないのでは?(再掲)

※2021年12月に掲載したものです


スミヨシです。


気が付けば今年ももう終わりそうですね。

うちは結婚記念日が12月10日です。

今年が1周年です。

結婚記念日のお祝い事をクリスマスとまぜこぜにしてうやむやにできるか、勝負の年です。


クリスマスにはオンコールが入ったので追い風です。

きゃっほう!!


でもクリスマスにオンコール入ってるのよく考えたらおかしくないですか?

別に頼んだわけじゃないですからね。

僕が結婚してなくて、クリスマスオンコールのせいで不仲になったら、病院は、社会は責任をとってくれるのでしょうか。


むしゃくしゃしていたところに、Antaaがクリスマス特集号とかいうイベントをしているのを見つけました。


Antaaクリスマス特集号2021


Q. 仲間うちで開催した勉強用スライドだし、誰かに見せるほどのクオリティじゃない……
→ その知識を欲しい人が、きっとどこかにいるはず。Antaa Slideで共有することで、先生が一生懸命作ったスライドをその人のもとに届けませんか? いつか必ず、 誰かの役に立ちます!


なんて書いちゃってるので、本当に皆の役に立たない、クソみたいなデータを算出してスライド投稿しました。


Antaaはこちら

クリスマスはサンタが来るから小児救急受診数少ないのでは?


ボスには見せてないのでばれたら知りません。

メリークリスマス!!!!!!!!!!


結論はなぜか増えたってオチです。


2022/12/21

SPACEのCはCitrobacter freundiiのCっすね



スミヨシです。

SPACEといえば院内の耐性化傾向の強いGNRのごろ合わせで、


S:Serratia

P:Pseudomonas

A:Acinetobacter

C:Citrobacter

E:Enterobacter


の頭文字ですね。


以前、尿路感染の患者の血液培養・尿培養からCitrobacter koseriが血液培養から生えた人がいて、CMZで治療されていたときに、抗菌薬変更する?という質問を3年目の先生が受けていました。

「SPACEカバーとしてCAZかCFPMに変えます」

というアセスメントをしていました。

さて皆さんならどう返事しますか?


SPACEのCはCitrobacter freundiiのCっすね

でまあ、僕はこう答えたわけです。

福知山でも似た話があったなあ、思い出しました。

いままで出会った総合内科の先生でここで引っかかっているいる人がちらほらいた印象です。

てか、自分も札幌にいるときにこれを意識できていなくて、京都に来て知りました。

耐性が問題になるのはCitrobacter freundiiです

Citrobacter koseriはだいたいKlebsiellaと同じような感受性を示すし、染色体性AmpC(この場合ampC??)がなく、耐性誘導しないだろうと思われるので普通の腸内細菌カバーをしていれば対応できるかと思います。


この症例は確か最終的にCEZにしたんだったかと思います。


というか、SPACEって言葉、京都来てからあんまり使わなくなりました。

感染症医は使用しないですかね?

まあ、PAとSCEは別物ですからね。。

これもある意味総合内科ワードなのかもしれません。


いやなんだ総合内科ワードって。semantic qualifierみたいなことか?


ではまた。


結論:SはStenotrophomonas maltophiliaに変えた方がいいんじゃないかとも最近思う。

2022/12/19

【short】感染症科で勤務していて、「この医者、多分いい医療する医者だ」と思う瞬間




UTI+shock+AKIで入院

腎機能悪いからMEPM 1g 12時間おきで開始

次の日、腎機能改善していたので、MEPM 1g 8時間おきに変更

というのを見た時。


あえてメロペネムにしたけど、メロペネムを使っているかどうかなんて個人的には些末な問題だと思っています。感染症医に怒られるかもしれないけど、必要時には使用すべきだと思いますし。

メロペネムを使用しない美徳は若干の宗教性も混じってしまうこともしばし感じる。そこではない。


最初のdoseを腎機能に合わせて投与することのできる医者は多いけど、改善してきた腎機能に合わせて抗菌薬のdoseを多くすることのできる医者はなんか少ないですよね

こういう医者はde-escalationも結構やってくれる。

大体看護師さんへの指示とかも適切で、丁寧。

患者評判もよい。


逆にそんなに丁寧じゃないと、ここって気が回りにくいのかとも思う。

レベルの高いことでもないと思うが、いい内科って面倒なことに目を背けない事なのだと思う。


ちなみに腎機能改善したときに抗菌薬増量しないとアウトカム悪化があるか、とか、最初は腎機能悪くてもローディングdoseでいけ、とかそういうのは知らん。



なお、最初の画像は昔、金沢で徳洲会グループの集まりがあったときの名札。

私の名前はスミヨシ。でもたまにヨシズミと間違える人がいる。


私をヨシズミと間違えていい医療する医者や看護師は今のところいない。

これは100%胸を張って言える。

金沢にいい医療は無いのかもしれない。

皆引っ越せ。

2022/12/17

姿勢時振戦の可視化(KYORAKU test/京楽試験)


参考画像:Air-Vib(エアバイブ)


スミヨシです。

昔僕はパチンコ依存症だったので、留年したときにはパチンコブログを開いて、プロパチンカーになろうとすら思っている時期がありました。
パチプロではなく、プロパチンカーです。その方がかっこいいのです。

パチンコって派手な演出が多いのですが、僕の好きな演出は断然Air-Vib(エアバイブ)です。

画面や音はまだ当たっているかわからないのに、このハンドルの部分から、ぼっぼっぼっぼと空気がリズミカルにでてきて、自分だけが当たったことが分かって余裕ぶれる奇跡の発明です。

これを可視化するの難しかったのですが、当たったときにティッシュを当てて、それを動画にとるとエアバイブをみんなに共有することができることを発明したのは何を隠そう私です。(動画が残って無いので証明できないのですが。。)


さて。


総合内科をやっているとバセドウ病を診ることがままあるかと思います。

バセドウの振戦は姿勢時振戦なので、皆に共有したいのですが、動画でとっても分かりにくくって、ビジュアル化しづらいと思います。


そんなときはKYORAKU testを動画にとるとよいですね。





どうでしょうか。

しっかり姿勢時振戦が撮れているでしょう。


これ、こうやって紙をおくのはどうやら有名ですが、名前がないと思います。

なのでこれからはKYORAKU test/京楽試験と呼んでください。


もし名前が合ったらすみません。教えてください。


言わずもがな、姿勢時振戦の鑑別上位にバセドウが来るわけでは無いのであしからず。若年女性なら考えてもよいかもしれませんが、他の症状があるはず。

(Postgrad Med J. 2005;81:756-62. )


ちょっと論文が進まな過ぎてなんのこっちゃわかりませんが、バセドウみつけたら皆さんもAir-Vibを思い出してください。

ではまた。


結論:多分本当に原作好きな人は、ぱちんこ必殺仕事人のナンバリングとキャラが違うことに戸惑う。

2022/12/14

ST上がってるけど、たこつぼ心筋症っぽい場面




スミヨシです。

昔の当直で。
頭部打撲で入院、特に症状はない院内の患者のモニターでのST上昇があって、循環器内科の先生に診てもらいました。
CK上昇はないけどトロポニンが上がってたり、心電図を見て、たこつぼかなあ、なんておっしゃっていました。
それでもCAGをしていただき、結果心筋梗塞でした。
マジか。わかんないもんです。

たこつぼらしさって今更ながらなんなんだろうと気になって調べました。


たこつぼ心筋症の診断

いろんなフローチャートはあるんでしょうが、UpToDate®とかみても、やはりMayo criteriaが使用されていることが多いんですかね。

Mayo criteria
①一過性の左室壁運動低下
②冠動脈閉塞を血管造影にて認めない
③新規の心電図異常(ST上昇, 陰性T波)orトロポニンの中等度上昇
④褐色細胞腫、心筋炎がない

②を確かめるためにCAGが必要、ということになります。

診断に必要な検査が循環器内科で行ってもらわなければならない以上、どんなにたこつぼだろうと思ったとしてもコンサルしたほうが多分いいんですけど、折角なのでたこつぼらしさが何なのか調べてみました。

Inter TAK Diagnosis Score
(Eur J Heart Fail.2017;19:1036-1042. )

たこつぼ心筋症と、ACSの鑑別に使用します。
正直知りませんでした。

Inter TAK Diagnosis Score
・女性 25点
・感情的トリガー 24点
・身体的トリガー 13点
・ST低下無し(aVR) 12点
・精神疾患 11点
・神経疾患 9点
・QTc延長 6点

50点以上の患者がたこつぼと診断されたとき、95%で正しく診断
31点以下の患者がACSと診断されたとき、95%で正しく診断


Wells criteriaの項目に「PEっぽい」が入っているのと同じもやもや感はあるのですが、大事なのはスコアリングに入っている項目がたこつぼらしさだろう、ということですかね。
女性に多いし、ミラーイメージは無いし、何かしらのトリガーがあることが多いのだと思います。

QT延長とかST低下なしとか、心電図も参考になるのだなあといったところですね。

たこつぼ心筋症はQTc延長する

(J Am Coll Cardiol.2003;41:737-42. )

そういうわけで、たこつぼのQTcに関して。
20年以上前の日本のデータ
17名のたこつぼ心筋症患者
全員にQTc延長がみられた。(中央値500ms,436から581 ms)


たこつぼ心筋症はSTEMIに比べてEFもトロポニンも低くてNT-proBNPが高い

Am J Cardiol.2014;113:429-33.)

STEMI 60例とたこつぼ59例の比較

たこつぼはSTEMIにくらべて、
・女性が多い(63% vs 31%)
・トロポニンが低い(7.6ng/dl vs 102.2ng/dl)
・EFが低い(30% vs 44%)

一番下のTEFPは トロポニン× EFで、250以上の場合はSTEMIの感度95%、特異度87%


NT-proBNPもSTEMIやNSTEMIに比して高くなる
(Int J Cardiol. 2012;154:328-32.)


まとめ

とりあえず、何かしらトリガーがあって、QT延長してて、EF低いわりに心筋マーカーしょぼかったらたこつぼかも!なんて思うのはいいかもしれません。
トロポニンの中等度上昇とはいったいどれくらいなのかはわかりませんが。。
エコー所見のみではなんとも言えない感じでした。

施設間の差や時間帯などあるかもしれませんが、それでも非循環器内科医がどこまで自分で抱えていいかは断言できません。
自分は正直すぐ相談できる環境にあったので悩んだことは無かったですが、すぐに相談できない場合には、この人はたこつぼっぽいなという安心感をえるために知っておいてもいいかもしれません。

ではまた。

結論:たこの心臓は3つあるから、多分たこつぼ発症してもなんとかなる

2022/12/12

ベネトリン吸入後の喘鳴悪化(再掲)

※2021年8月の記事です。

スミヨシです。

先日のPCLSが隠岐病院さんの発表で、

COPD急性増悪の方がいったんよくなったんだけれど、喘鳴が強くなってきた
という内容でした。

肺塞栓かなーとかおもってたけど、結論はベネトリン®をやめると改善。
塩化ベンザルコニウムによる気管支狭窄の疑い、とのことでした。

大変勉強になりました。うれしくなって自分でも調べてみました。



塩化ベンザルコニウムの気管支狭窄

塩化ベンザルコニウム自体は消毒液に使用されており、通常内服などをすることはない。
ベネトリン®はネブライザーを用いて吸入する。
ベネトリン®は瓶に入っている液体の薬剤で、長期保存のため防腐剤として、塩化ベンザルコニウムが含まれる。

塩化ベンザルコニウムの気管支狭窄がケースレポートがいくつかある。



機序はよくわかっていなさそう。
アナフィラキシーか?


塩化ベンザルコニウムの含まれる薬剤

塩化ベンザルコニウムは、上記のベネトリンの他、点眼液やグリセリン浣腸にも用いられる
吸入薬ではスピリーバ、スピオルト、メプチンの瓶の方には入っている。

⇀サルタノール®吸入や、メプチンキット使用なら回避できるか。


PCLSのコメント欄にはそれ回避でメプチンにしてます、みたいなのもあってすごいな、と思いました。

COPDの人が酸素化悪くなっているのに、吸入薬やめる、というアクションは結構勇気が必要ですが、知っていればいつか役立つかもしれないですね。
ではまた。



結論:隠岐諸島が島根か鳥取か答えられる人間は0%


2022/12/10

「イグアナ咬傷の抗菌薬どうしたらいいですか?」と聞かれたときの対応


スミヨシです。


ノーライセンスですが自分のことを感染症医と思い込んでいるので、たまに昔の友達や後輩が間違って僕に感染症のことを聞いてきたりします。

さすがに責任はとれないので、軽い質問に軽い返事しかしませんが、このまえ面白い内容がありました。


イグアナにかまれた?

詳しい内容はわからないのですが、

「飼育していたイグアナに咬まれたが抗菌薬はどうしたらいいか」

という内容。


多分真面目に聞くなら、種類とか環境とかいろいろ考えるんでしょうが、正直イグアナのことなんかよくわかりません。

ひとまず、破傷風予防はすすめたうえで、どうしますか?


動物咬傷はサンフォードをみてみる

ネコやイヌやヒトなんかは、パスツレラなど口腔常在菌カバーでオグサワ、というのは定番化と思います。


ただ、その他の動物に関しては、どんな菌が常在菌かもよくわからないので

・サンフォードを探す

・動物名+bite±antibioticsで検索

のいずれか、と思います。というかサンフォードがなぜか動物咬傷をやたら載せています。

一読の価値ありです。



アザラシ咬傷とかコモドドラゴン咬傷を見る日はくるのだろうか。
しかし残念ながらイグアナ咬傷は載ってませんでした。


iguana biteで検索

pubmedで一応「iguana bite」で検索してみると一件ひっかかりました。

(Clin Microbiol Rev. 2011;24: 231–246.)

元文献がケースレポートですが、Serratia marcescensが起因菌となった動物咬傷が2件あったようです。


あと和文・獣医師のものですが、ペットのグリーンイグアナの保菌率が

サルモネラ(17.3%)

黄色ブドウ球菌(20.2%)

パスツレラ(3.4%)

とのこと(サルモネラは糞便、他は口腔)

(日本獣医師会雑誌.2008;61:70-4)


まとめ

これら踏まえて、セラチアやサルモネラのカバーをすべきかは答えられませんでしたし、オグサワでもいい気もしました。

しかし調べてしまったのもあり、

・レボフロキサシン+メトロニダゾール

を提案しました。その後どうなったかは知りません。


動物咬傷からの感染はなるべく防ぎたいので抗菌薬の投与を行うのと、洗浄が基本ですが、場合によっては抗菌薬の種類を変えた方がいいかもしれません。

アウトカム不明です。

あと分からなければオグサワでいいと思います。


ではまた。


結論:イグアナって恐竜ぽいので多分恐竜咬傷も同じ対応でいい。

2022/12/07

頻回採血は貧血の原因になりうる?

スミヨシです。


採血は貧血の原因にもなるし、侵襲もあるので、自分の不安のために何回も採血とかやめなさい、と昔習ったことがあります。

実際採血を頻回にするのはよくない、というメッセージは重要ですが、頻回採血程度で貧血なんて起こすの?というのも思うところがありますので調べてみました。


Blood loss from laboratory tests

(Clin Chem.2003;49:1651-5. )

入院患者 2654人の採血回数と量を調べた研究

入院日数は平均9.5日、中央値7日

95%が196ml未満の採血量(≒80mlのRBC喪失)


それらを超えた採血をされているのはすべて集中治療室の患者

Hb値の推移などはデータ無し


一般病棟での採血量はたかがしれている、という一つの参考値にはなるのかもしれません。

なんとなく感じたのは、献血が200ml or 400mlですので、1週間入院しても献血より採血量すくない、というのはどこかで使えるかもしれません。


Blood sampling as a cause of anemia in a general ICU - a pilot study

(Rom J Anaesth Intensive Care.2015;22:13-6.)

ICUに入院した35人(血胸、血腫、脳出血、硬膜外・硬膜下血腫、消化管出血、透析など出血に関わる入院は除外)


・入院時Hb平均値は11.3g/dL、退院時の平均値は10.1g/dL

・血液検査:3.8回/日 

・採血量:18.1ml/日 

・ICU滞在日数 9.7日(すべて平均)

入院時と退院時のHbの平均値の差は、全体的な死亡率と相関



直感ではわかりにくいのですが、1日あたりの採血量と1日あたりの採血回数の両方が平均Hb濃度の低下と相関していた、とのこと。

採血1 ml ごとに、Hb濃度は 0.12 g/dL 低下と記載(ここの表現は自分が理解できていません)。


採血だけがHb低下に関与したかはわかりませんが、採血をすればHbが落ちるというデータには見えます。


Do blood tests cause anemia in hospitalized patients? The effect of diagnostic phlebotomy on hemoglobin and hematocrit levels

(J Gen Intern Med.2005;20:520-4. )


一般内科での404の入院イベント(患者数381)での分析

・採血の平均量は74.6±52.1ml

・入院時と退院時のHbはそれぞれ12.56g/dlと11.76g/dl

⇀入院中の100mlの採血で、Hb 0.7g/dlの減少と、Ht 1.9%の減少がみられる計算となる。


また、入院中 56例(13.9%)が鉄指数や便潜血など貧血精査が行われた。そのうち11例は入院時に貧血ではなく、貧血を引き起こす状態での入院ではなかった、とのこと。


これも採血だけが問題ではないとは思いますがプラスアルファの要素にはなりうるのかもしれません。


まとめ

採血は一般病棟、ICUでもある程度Hb低下の原因になるかもしれない。

もともと貧血のある患者などはもしかすると上記データとは異なるかもしれないので注意。

そこまでビッグデータがあるわけではないですが、頻回採血を躊躇する理由の一つとして知っておくといいかもしれません。


ではまた。


結論:この前血液培養を採られましたが40mlとか採りすぎで気分悪くなるので皆やめた方がいい

2022/12/04

特発性縦隔気腫




スミヨシです。

自分のセッティングだと1-2年に1回くらい、特発性縦隔気腫をみる印象です。
Covid-19でも縦隔気腫を見ることがたまーにありますかね。
もはやそれは特発性じゃないですけど。
(Acad Radiol. 2021;28:1586–98.)


福知山でまとめていたのですが途中になっていたので改めて。

特発性縦隔気腫

(J Thorac Dis. 2015;7:1817-24. )
(Am J Emerg Med.2017;35:1150-3. )
(Asian Cardiovasc Thorac Ann.2014;22:997-1002.)



(consultant360.2012;11(2))
何らかの原因で肺胞破裂⇀縦隔に空気が入った状態
外傷性もしくは非外傷性にわける。
いわゆる特発性縦隔気腫は非外傷性(とはいえほとんどは何かがきっかけで内圧上昇が起こっているのだとは思う)。

疫学

おおよそ7-8割が男性
年齢は若年者に多く、10代後半から20代前半でピーク(小児のぞく)

原因
咳(喘息ふくむ)、嘔吐、運動、管楽器の演奏、分娩などいわゆるバルサルバ手技にあたるものが誘因となる。
過換気やスキューバダイビングもリスク因子
でも最多(30-50%)は原因不明

当然二次性に注意で、特に腹痛の有る場合や40歳以上、胸水や発熱を伴う、腹部圧痛、低血圧などがある場合などは食道破裂を念頭に置く。
(J Am Coll Surg. 2014;219:713-7.)
(UpToDate®"pontaneous pneumomediastinum in children and adolescents")
症状
UpToDate®("pontaneous pneumomediastinum in children and adolescents")では
・胸痛 55%
・呼吸困難 40%
・咳 32%
・頸部痛 17%
・嚥下時痛 14%
・嚥下障害 10%

頸部など握雪感があるか確かめるといいかもしれません。

Hamman's sign



縦隔気腫の人で、心拍に一致したトントントンっという音。
前胸部・左側臥位で聞こえやすい。

心音聞こうとしたら、あ、これHamman'sじゃんってなるけど場所変えると聞こえなくなって心音だったんかい、ってなるときもある。
でもちゃんと聞くと音が全然ちがう。

検査

胸部レントゲンで。個人的にはCT。
UpToDate®では肺疾患の無い患者にはCTは適応ないと書いてますが、救急のセッティングでは誰もが症状の範囲を共有できて、気胸や胸水の評価もできるCTを撮らない理由は少ないと思っています。


治療

保存療法。
予防的抗菌薬で縦隔炎を防ぐ、という試みもあるが、決まったものは無いし、研究によって抗菌薬いっていたりいってなかったり様々。

その他

明確な基準は無いが、飛行機はXRの改善から2週間経ってから
スキューバダイビングは原則禁忌

まとめ

若干snap diagonosis感のある疾患だとは思います。
多くの場合、若年男性で縦隔気腫を疑う場合は、気胸を疑う場合と同じだと思うので、気胸を疑ったときに、縦隔気腫も無いか割と本気で確認するクセを習得する、のがよいですかね。

保存療法で、抗菌薬は個人的には不要です。

ではまた。

結論:握雪感って、沖縄とか雪の無い国の人には難しいかもしれないから別の表現を探すと、"rice crispy"という表現が使われるようですが、正直rice crispyの方が馴染みがないのでこれからも握雪感でいきます

2022/12/02

【short】肺炎BIG6とか明らかにふさわしくないやつ入ってるから後世に伝えるなよ【私見】

※今回の内容はすべて私見です。
私はこの記事を書いているときに、原因不明の38℃の発熱5日目でした。CRPは3を超えていました。血液培養まで採りました。
だから意識朦朧だったはずです。内容には責任を持ちません。





スミヨシです。

肺炎に関して熱い先生は一定数いますよね。
総合内科に多い印象です。
自分もそのうちの一人と思っているので、研修医に肺炎を教える機会は多いし、作っているつもりです。
なぜ皆肺炎にセフトリアキソンか、アンピシリン・スルバクタムをよく使用しているのか、肺炎BIG6から教えてそのカバーをしているのだろう、という話から持っていきます。

肺炎BIG6はご存じでしょうか。
市中肺炎の主な菌6つです。

-------------------------------
肺炎BIG6
・肺炎球菌
・インフルエンザ桿菌
・モラクセラ・カタラーシス
・マイコプラズマ
・クラミドフィラ
・レジオネラ
-------------------------------

さて。
これどう思います?

どう考えてもBIG6じゃないやつが入ってますよね!!!!


さて、どれかと言われれば当然クラミドフィラですね。
なにこいつ?
いまだに診たことないんですけど!!

もっというと、どの検査項目をだせば拾うことができるかもよくわからん!
なにこいつ!

昔のデータはわかりませんが、思ってたより市中肺炎の起因菌にならないことがわかってきています。
(Clin Infect Dis. 2016;62:817-23. )

そもそも今日日、ピュアな肺炎球菌肺炎とかもめっちゃ減った気がします。
うちの研修医目線で肺炎の起因菌とかインタビューしたら、ほぼ誤嚥性肺炎(口腔内常在菌)でしょう。グラム染色がむなしい。。
あと、菌じゃないけどCovid-19の方が細菌性肺炎より多いでしょう。

というわけで、話が少しそれましたが肺炎BIG6は後世に伝えるのはやめましょう!

・Covid-19
・口腔内常在菌
・肺炎球菌
・インフルエンザ桿菌
・モラクセラ・カタラーシス
・マイコプラズマ
・レジオネラ

これでいかがですかね。

とにかく、クラミドフィラはもうBIG6から外すべき!!
ではまた。



-------------------------------------
以下グチ。


最近、研修医に肺炎の起因菌を説明していても、もう何か、すべってる感じするんですよね。。
教科書と現場は違うんですよって言われているようなそんな気分です。
知識としての価値はあっても、実臨床に活かしにくくなっている。
福知山とか、めちゃくちゃグラム染色してくれてましたが、それが臨床のマネージメントを変えない(≒ほとんどpolymicrobialとかGPC多くても臨床的に誤嚥性肺炎ばかり)ことも多かったです。
研修医は上級医に言われるからグラム染色してるけど、その前からすでにセフトリは投与ずみ、みたいなこともよく見ました。

セフトリではなく、アンピシリンやペニシリンGで開始するメリットも分かりづらく、内科外来でも結構細菌性肺炎が減っており、このあたり熱く語ろうにも結局誰もやってない、施設でやってるのは総合内科の先生だけで、救急でも皆セフトリかユナシンじゃん、で終わりがちになっている気がします。
意外とそれが均一的でスムーズな診療になっているかも、と感じるのも事実です。

話がそれましたが、
・肺炎を熱く語る上級医の熱はコロナ禍の救急外来が主戦場の研修医に届きにくい

と感じています。
僕ですら、肺炎に熱い先生の話を聞くと、なんかこの先生コロナ禍に入ってから臨床してないのか、なんて思うこともしばしばです。
肺炎に熱い先生と、研修医や若手とにギャップが生まれていて、あたかも古い診療している先生の話を黙って聞くみたいな構図になっている感があり少し辛いところです。。
対策が必要な気もしますがどうしたらいいかわかりませんね。
今のところ自分は知識としては残しつつ、市中肺炎の勉強より誤嚥性肺炎の勉強がコスパがいい、という方針にしています。

2022/11/30

Staphylococcus saprophyticusが尿培養から出たら起因菌かも




スミヨシです。

福知山にいたときに、20代の女性のCVA叩打痛、発熱、頻尿のある腎盂腎炎が土曜日に入院、月曜日にコンサルというのがありました。
尿培養はGPC cluster、血液培養は陰性継続中
CTRX投与後症状は改善傾向、でも本人の強い希望で帰宅方針。
自分はST合剤処方して帰しました。外来フォローはしましたが。

科内カンファでこの患者の病態など踏まえ何が考えられるか議論になりました。

この患者の病態の想定は?
という話し合いになり、挙がったのが、
・Staphylococcus aureus菌血症なのではないか?
・そもそもUTIではないのではないか?

でした。

でもアトピーの無い若年のStaphylococcus aureus菌血症は変だし、そうなら血液培養早めに生えてほしいなあ、と思いました。
そもそもUTIでないのでは、とかいわれても頻尿あるし、CT撮られてましたが粗大な病変はなさそう(腎膿瘍や他の疾患はなさそう)だし。。

「自分の想定ではもしかしたら〇〇が生えるんじゃないかと思っています」
なんて言ってみたんですが、何それ?みたいな反応でした。
あんまり有名じゃないんですかね。

外来フォローでは症状改善していました。
血液培養は陰性、尿培養からはStaphylococcus saprophyticusが検出されていました。

Staphylococcus saprophyticus

知ってたら反応するし知らないと無視しちゃう菌シリーズですね。

女性のurogenital tractsの5-10%にコロナイズされている
セクシャルアクティビティの高い女性の単純性UTIの起因菌になりうる
(Mandell 9th)

市中で発生するUTIの5-20%を占める
16~25歳の女性のUTIの最大42%を占めている(E. coliに次いで2番目の起因菌)
※これがよく言われてて「Gram-Positive Uropathogens, Polymicrobial Urinary Tract Infection, and the Emerging Microbiota of the Urinary Tract」が引用されていることが多いがさらにその元文献は1978年のものだったりするので現代に当てはめていいかは不明。
(Microbiol Spectr. 2016;4:10.1128/microbiolspec.UTI-0012-2012)
 (J Infect Dis. 1978;138:791–797.)

治療
サンフォード
1st セファレキシンかオーグメンチン 2nd キノロン

ほとんどメチシリン感受性とのことですがそうでもない気もしているので、自分はST合剤やLVFXでの治療が多いです。感受性次第ですね。



そもそも膀胱炎の尿培養はとらないことが多いでしょうから、意外と出会わない気もしています。
自分は2例しか見たことないです。
男性や小児でも報告はあるみたいですが、報告されるレベルの頻度だと思います。

とにかく、「Staphylococcus saprophyticusが若年女性の尿培養から検出されたら起因菌かも」と知っておくのが重要です。

検査室によっては尿のGPC-clusterを同定しないとか感受性ださないとかあるでしょうからそこは注意ですね。
ではまた。


結論:Staphylococcus saccharolyticusとかいう紛らわしい菌がいるぞ!!

2022/11/28

【症例】40歳女性 胸痛を伴うアナフィラキシー(再掲)

※2021年9月にのせたやつです。

最近少し話題になっていたので。


スミヨシです。

最近涼しくなってきましたよね?

虫が怖いので我が家は窓開けるのは禁止にしております。

このまま夏が終わればいいのにね。


この前のカンファで、胸痛を伴うアナフィラキシーが話題に挙がったので調べました。



※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
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40歳女性
X日 新型コロナワクチンを接種
その直後から全身の皮疹と呼吸困難感が出現し、ERへ
速やかにアドレナリン筋注が行われたが、胸痛の訴えあり。
12誘導心電図で、Ⅱ、Ⅲ、aVFのST上昇
CAGでは有意狭窄なし
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さて、この症例どうしますか?

まあ、非循環器医だと成す術ないかもですけど。


カンファではある疾患を頭の片隅に置いておくようにボスから言われました。


Kounis症候群です。






Kounis症候群

(Clin Chem Lab Med.2016;54(10):1545-59.)

アレルギー反応に伴い、急性冠症候群を起こすもの。

アレルギー反応⇀ヒスタミンなどが冠動脈攣縮を起こす⇀冠動脈プラーク破裂、血栓形成によって引き起こされる。

レビューの筆者がKounis氏なので、その先生の名前が病名になったと思われる。


アナフィラキシーのどれくらいの割合で引き起こされるかは不明。

トルコの研究では、3876人のAMI疑い患者がCAGをされ、8名がKounis症候群であった。

(Exp Rev Clin Immunol 2010; 6:777–88)


分類

Ⅰ型:冠動脈の有意狭窄のない冠動脈攣縮
Ⅱ型:冠動脈に有意狭窄があり、攣縮が起きてプラーク潰瘍や破綻が起きる
Ⅲ型:好酸球や肥満細胞によるステント留置後のステント内血栓


いずれにせよ、アナフィラキシーの治療+ACSの治療になるかと思います。


病名を知っている必要はないとは思いますが、アレルギー反応で受診された方が胸痛を訴えていれば、ACSの対応も視野に、ということでしょう。

私はいつも循環器の先生がアグレッシブな施設で働けているので助かります。

ではまた。



結論:デスノートの心筋梗塞は基礎疾患の無い若い人にも起こっているから冠攣縮か心筋炎かKounis


2022/11/25

末梢カテの昇圧剤使用は、看護師さんに否定されがち。

 


スミヨシです。

昔、札幌の師匠に、

「末梢カテから昇圧剤は使用しないほうがいい」

と習ったことがあります。

初期研修のころでしたね。2016-7年あたり。

組織障害おこったり、キンク解除したときに一過性に想定以上の昇圧剤が流れ込むリスクがあるから、なんて説明でした。

一方で、最近は救急の先生とか割と末梢からいってるのをみるようになりましたし、このあたりの話は別に末梢から投与していい、で決着がついていると認識しています。


あるとき「ノルアドレナリンいくのにCVじゃなくていいの?」ということを看護師さんに聞かれてこの議論が懐かしくなりました。

ちょうどそのあたりのレビューを見つけたのでまとめてみました。


※追記

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37611862/


末梢静脈カテーテルによる昇圧剤投与について

(CMAJ.2022;194:E739)


まずもって、急ぐ場面ではとっとと末梢からノルアドレナリン投与したほうがよさそうです。

the Surviving Sepsis Campaign guideline2021では、以下のような記載です。

"44. For adults with septic shock, we suggest starting vasopressors peripherally to restore MAP rather than delaying initiation until a central venous access is secured."

(Intensive Care Med.2021;47:1181-1247. )

昇圧剤投与する場面でCV挿入を待たないで、という記載ですね。


有害事象

血管収縮薬を末梢投与した 16,055 人の患者のメタアナライシス

有害事象は1.8%

発生率はゲージ数や昇圧剤の種類、カテーテルの位置での有意差は無かった。

⇀CV挿入では気胸 (2.1%)、カテーテル関連血流感染 (0.5%–1.4%)、深部静脈血栓症 (0.5%–1.4%) の合併症があるため末梢における合併症比較してとCV挿入がベターとは言えないかも?

(Crit Care. 2021;25:146. )

ノルアドレナリン投与が6-12hを超えると組織障害が増悪する

(J Crit Care 2015;30:653.e9–17)

検索が甘かったかもしれませんが、CV vs 末梢での有害事象の比較はあんまり無さそうに思いました。


キンクどうのこうのの記載も見つけられませんでした。所詮耳学問ですし、そんなに気にしなくていいですかね。。


もうかれこれ3年以上CV入れてないですので、もううまくできる自信はないですね。。

救急で昇圧剤使う場面では末梢から投与、一晩粘るみたいなムーブにしてしまいがちです。でもそれで十分かもしれません。


多分今の若手にとっては当たり前なことだと思いますが、昔は昇圧剤投与₌CVだったと思うのでそのギャップが医師や看護師間で生まれないようにしたいですね。

ではまた。


結論:電子カルテが「抹消カルテ」と変換するの、電子カルテの自覚が無さ過ぎてむかつく。

2022/11/22

Ceftriaxone(セフトリアキソン)は1日1g?2g?

スミヨシです。



セフトリアキソン、抗菌薬の中では正直抜群に使いやすいですよね。。

腎機能考えなくていいし、1日1回でいいし、腎機能考えなくていいし、だいたいの市中感染に立ち向かえるし。。

抗菌薬界の秘密兵器としか思えません。

無人島に一つ抗菌薬をもっていくならセフトリアキソンでしょう。


さて、そんなセフトリですが投与するときはどれくらいの量で使っていますでしょうか。


おそらく1回1gもしくは2gで使う人が多いと思います

もしかすると1回1g 1日2回の人もいるかもしれません。

割と総合内科出身の先生は2gで使っているのをみますが、自分は今の施設ではだいたい1g/日で使用しています

UpToDate®の腎盂腎炎治療も1g1回となっています。

もちろん髄膜炎は2g 2回ですが。


セフトリアキソン 1回1gでもいい、というデータもダメ、というデータもいくつかあります。


肺炎には1回1gでよいかも

Efficacy of Ceftriaxone 1 g daily Versus 2 g daily for The Treatment of Community-Acquired Pneumonia: A Systematic Review with Meta-Analysis

(Expert Rev Anti Infect Ther.2019;17:501-10)

市中肺炎に対するセフトリアキソンのRCTをいくつかあつめたメタアナライシス

セフトリアキソン1g24時間ごと/1g12時間ごと/2g24時間ごとのものが含まれている。

⇀セフトリアキソンを1日1gより多く使用しても臨床的アウトカムの改善はみられなかった。 (OR 1.02、95% CI [0.91–1.14])



1g versus 2 g daily intravenous ceftriaxone in the treatment of community onset pneumonia – a propensity score analysis of data from a Japanese multicenter registry

(BMC Infect Dis.2019;19:1079. )

市中肺炎に対するセフトリアキソン 1g vs 2g

治癒率:88.9% vs 91.5%

入院日数:18日 vs 26日

抗菌薬投与期間:7日 vs 8日

院内死亡率:7.9% vs 3.2%


いろんなバイアスはありそうですが、1g/日が2g/日に劣ってはいない。

APSG-J studyのCOP死亡率は11.5%でありそれに比べると低いため、集団がより健康であった可能性はあるとのこと。

1gの方が死亡率高く見えますが一応有意差はなし。


腸内細菌菌血症には2gのほうがいい?

Ceftriaxone 1 g Versus 2 g Daily for the Treatment of Enterobacterales Bacteremia: A Retrospective Cohort Study

(https://doi.org/10.1177/87551225221121252)


腸内細菌菌血症に対するセフトリアキソン 1g vs 2g

臨床的失敗率:16.7% vs 9.6%

90日間感染再発率:11.1% vs 1.9%

低アルブミン血症が臨床的失敗率に関連

統計学的有意差は出なかったようだが1g投与群が臨床アウトカムが悪い傾向。


ICU入院患者には2gのほうがいい?

Comparison of Clinical Outcomes among Intensive Care Unit Patients Receiving One or Two Grams of Ceftriaxone Daily

(Antimicrob Agents Chemother.2020;64:e00066-20. )

ICU患者の非中枢神経感染でのセフトリアキソン 1g vs 2gの比較

治療失敗:17.0% vs 5.7%

低アルブミン血症群の治療失敗率:30.4% vs 9.7%

SOFAスコア高値群の治療失敗率:64.3% vs 22.2%


副作用の差は無し。

低アルブミン(2.5g/dl以下)、SOFAスコア10を超えた群、Ccr高値での治療失敗率が高かった。


セフトリアキソン高容量のリスク


・セフトリアキソン 2g/日以上でCa-CTRX沈殿が起きやすい

(Gastroenterology.1990;99:1772-8. )

・セフトリアキソン投与量、投与期間が長引く(とくに総投与量19gを超える)と偽胆石症のリスク上昇

(Intern Med. 2021;60:3857–64)


多けりゃいいというもんでもないですね。

胆石は避けたいところ。


まとめ

肺炎は多分1g 24時間ごとでよい

菌血症患者やICUには2g/dayがいいかもしれない


菌血症をセフトリアキソンで治療完遂することは、感染症だけ考えるとあまりない気も思います。

1日1回とか皮下注できるとか外来投与できるとかそういったことはあるかもしれませんが。

培養結果で薬剤変更をこころがけたいですね。


ではまた。


結論:1g 1日2回の人とは仲良くなれない

2022/11/20

【short】血液培養陽性でシグナル陽性だけどグラム染色陰性




スミヨシです。

血液培養陽性の反応があったけど、グラム染色が陰性、の鑑別を昔ボスに教えていただいたことがあります。


・白血球増多

・菌量が少なすぎて見えない

・染色性の低い菌:マイコプラズマ,カンピロバクター,ブルセラ,抗酸菌

(CUMITECH 1C血液培養検査ガイドラインなどから)


そんなに出会わないですがコンタミ、偽陽性とも限らないので注意が必要です。



2022/11/18

【症例】75歳男性 下肢のかゆみ、体重減少


スミヨシです。

ちょっと科内で話題になった症例がありまして、それについて調べていた時に、見つけたので読んでみたシリーズです。

NEJMのClinical Problem-Solvingの"Copycat"より。


CLINICAL PROBLEM-SOLVINGNOV 04, 2021

Copycat


ものまねとかまねっこと訳せばよいでしょうか。

※一部省略、変更あり

【症例】75歳男性
【主訴】下肢のかゆみ、発疹
【病歴】
2か月前から7kgの体重減少
4日前から下腿にかゆみのある発疹
他の随伴症状なし
【既往歴】
C型肝炎ウイルス感染(未治療)
【社会歴】
サンフランシスコのホームレスシェルターに在住
先月までニューメキシコ州で猫を6匹飼育
コカイン使用歴あり
喫煙:never
飲酒:never

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この時点での鑑別は?
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自分だったらとりあえず血液培養とるのと、悪性腫瘍をどこまで考えるかなと思ってみてました。

原文では
・倦怠感および体重減少

・C型肝炎があるので触知可能な紫斑であれば、混合型クリオグロブリン血症
Bartonella henselaeによる猫ひっかき病、心内膜炎
・発疹チフスの初期症状
Bartonella quintananiよる培養陰性心内膜炎
Coxiella burnetiiによるQ熱など(ニューメキシコにはいる)

思いつかない疾患が多いですね。。
悪性腫瘍にしてはプレゼンが急性か。。
クリオグロブリン血症とか、言われるとハッとするのですが。。


次にすすみます。

大腿部の皮疹



【vital sign】
意識清明 BT 36.7℃ BP 115/54 HR 61 RR18 SpO₂ 99%
【身体所見】
皮疹は上記のとおり。触知可能で、圧迫しても消退しない紫斑。
口腔:正常
リンパ節腫脹なし
心音:胸骨右上縁で3/6の収縮期雑音
呼吸音:正常
腹部:圧痛なし
筋肉や関節、神経学的な異常はなし
【採血】
WBC 4500 Hb 11.6 MCV102 PLT 15.3万
BUN 51 Cre 2.4 AST 96 ALT 67 T-Bil 1.9 血沈89

抗核抗体陰性 ANCA陰性 ASO陰性 RA 207IU/ml

HCVウイルス量:160万IU/ml HIV抗体陰性 HBs抗原陰性 
C3 42mg/dl(正常71-159) C4 11mg/dl(正常13-30)
抗Ro-52抗体 57IU/ml(正常 40未満)
血清クリオグロブリン:陰性
【尿沈査】
RBC:50-100/1視野  WBC:5-10/1視野
尿蛋白/Cre比:35(正常:<8)
コカイン陽性
【画像】
胸部XR:正常
腎エコー:水腎症なし。サイズ正常。


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この時点での鑑別は?
検査は?
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自分はここいらで少し諦め気味でした。。
多分腎生検から行くのがいいのかなあ、なんて思いますが。この時点でAKIや血管炎が得意な先生にバトンパスしたいな、という気持ちが強くなりますね。
こういう疾患は自分ではなかなか診られないかも、なんて思ってしまいます。



原文は腎・皮膚生検と経胸壁心エコーを行っています。

経胸壁心エコー:EF 65-70%、軽度のA弁肥厚、中等度のAR

腎生検:免疫複合体を介した糸球体腎炎。
蛍光抗体法では”IgG, IgM, IgA, C3, C1q, fibrinogen, kappa, and lambda, with a predominance of IgA”

血液培養は陰性


⇀C型肝炎に伴うクリオグロブリン血症としてステロイドパルスと、Sofosbuvir–velpatasvir(エプクルーサ®)を開始。
2週間後にはリツキシマブも開始。

発疹は大幅に改善したが倦怠感が悪化。
Creも一度1.7まで改善したが、再度3.4まで増悪。


診断は?
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長い前振りでしたが、実際次の手は困るのだと思います。

解説をみると、この患者が改善しているところをみると、C型肝炎の治療やステロイドに反応している(≒C型肝炎関連のクリオグロブリン血症ぽい)ことは確かだが、別の原因をさがしてみましょうとの記載。


オチとしては経食道エコーでA弁に疣贅あり
B. henselae IgG 陽性 (1:262,144) IgM陰性
B. quintana IgG 陽性 (1:512 ) IgM陰性


というわけで、Bartonella henselaeによる血液培養陰性感染性心内膜炎でした。。

猫が原因でしょうね。

メッセージとしてはheuristics and confirmation bias、つまり経験則と確証バイアスが悪さした、とのことでした。

・未治療のC型肝炎患者の白血球破砕性血管炎、糸球体腎炎、補体低値、RA高値などがあり、経験則的アプローチでクリオグロブリン血症の診断になった。
・経胸壁心エコーで疣贅がないことを過大評価、A弁の異常を過小評価してしまった。

実際培養陰性感染性心内膜炎ってこういうプレゼンでくるとやっかいですね。
あとコカインとかの話も余計だし困った症例です。


クリオグロブリン血症とかバルトネラとかあまり得意じゃないのでそのうちこのあたりをしらべてみます。

ではまた。


結論:タイトルがオシャレなのでいつかパクってGIMカンファに出したいと思います。