このブログ内を検索

ラベル

2023/12/27

ボディビルダーの急性膵炎はステロイドの使用を疑う?


スミヨシです。


以前、入院中の患者さんが急性膵炎を起こしたことがありました。

コレステロールは正常で、肝胆膵の異常も今まで指摘されていない方です。アルコールもなし。

カンファレンスで、

まあこの人はステロイド投与していた人だから膵炎起こしてもいいかなあ

なんて話題になりました。

恥ずかしながらこのとき、ステロイドが膵炎のリスクになる、と把握していなかったので調べてみました。


ステロイドは膵炎のリスク?


Association of Oral Glucocorticoid Use With an Increased Risk of Acute Pancreatitis
A Population-Based Nested Case-Control Study

(JAMA Intern Med.2013;173:444-9. )


スウェーデンの6161人の急性膵炎患者

経口ステロイド使用中の患者 vs 非使用患者で膵炎リスクは増大(OR1.53; 95% CI、1.27₋1.84)

リスクは投与直後では増加せず、投与4-14日目で増加する(OR1.73、95% CI、1.31ー2.28)

吸入ステロイドではリスク増加せず




メカニズムはよくわからないみたいです。

ベタメタゾンは特にリスクだったようで、糖質コルチコイドが原因っぽいですね。

点滴でも同様だろうなあと勝手に思っています。


ボディビルダーの急性膵炎


いろいろ調べてみると興味深いケースレポートがありました。

Drug-induced acute pancreatitis in a bodybuilder: a case report

J Med Case Rep. 2022;16:114.

31歳のアラブ人ボディビルダーの急性膵炎

アルコールや喫煙なし

高トリグリセリド血症や高カルシウム血症はなく、最近の感染症、腹部手術、外傷、サソリ曝露(!)もなし。

胆道疾患および IgG4 疾患もなし


本人はステロイド、成長ホルモン、clenbuterol、サプリを使用しており、これらによる薬剤性膵炎が疑われた。

治療後、これらの薬剤をすべて止め、再発無し。


どの薬剤が原因であったか、なかったかは明確ではありませんが、もしかしたらステロイドかなあなんて思いました。


というわけで、ステロイド使用して患者には急性膵炎が起きるかもしれないということと、ボディビルダーは飲酒とか高TG血症とか少なそうなので、急性膵炎の際には薬剤使用を聞く必要があるなあ、と思いました。

ではまた。


結論:ボディビルダーでなくとも薬剤は聞くべき

2023/12/21

神経梅毒はセフトリアキソン筋注で治療可能?


スミヨシです。

大阪にいると、やはり梅毒は多く見かける風に感じます。

それは若年者の1期/2期梅毒のみならず、神経梅毒や潜伏梅毒もしかりです。


とかく、関西に来てから(感染症内科に所属してから?)梅毒を勉強しないといけないなあ、という日々です。

今夏にCIDから神経梅毒のState-of-the-Art Reviewが出ていました。

Clin Infect Dis.2023 Aug 18;ciad437. Online ahead of print.

そこで気になる記載がありました。


神経梅毒には原則ペニシリンGだけど・・?

神経梅毒は基本的にはペニシリンGの静注で治療を行います。

代替薬としてセフトリアキソンやドキシサイクリンが挙がることがありますが、ペニシリンアレルギーがあったとしても脱感作を行ったうえでペニシリンGを投与します。

神経梅毒に対してセフトリアキソンを使用した場合の治療失敗が懸念されているからと認識しています。

Am J Med.1992;93:481-8.

(J Infect Dis. 1992;165:396-7.)

セフトリアキソンでも問題ない、というデータも多く存在しますが、使用経験の蓄積からやはりペニシリンGを選択する場面が多いと考えます。


しかしそのレビューを読んでみると、

"The CDC recommends the use of IV or IM ceftriaxone as an alternative treatment for neurosyphilis, though this is based on limited data."

と記載あり。

確かにCDCのガイドラインを確かめるとさらっと載っていました。

ただでさえ代替薬として立場が不安定なセフトリアキソンを筋注でもいいのだろうか。

他のガイドラインでこの推奨はありません。

見てみると筋注についての参考文献はいずれもケースレポートでした。

まじすか。一応見てみました。


①61歳の非HIV 神経梅毒患者に対して、セフトリアキソンを14日間(IV3日間、IM11日間)

⇀記憶力、言語能力、運動能力の点でいくらかの改善がみられ、血中RPRや髄液蛋白も改善した。

Sex Transm Infect. 2003;79:415-6. )

②無症候性神経梅毒に対してセフトリアキソンによる筋肉注射(1日1gを14日間)で治療したら、髄液所見やVDRLは改善した。

(Sex Transm Dis. 1986 Jul-Sep;13(3 Suppl):185-8.)


他に症候性神経梅毒をセフトリアキソン筋注で治療した、というものは見つけられませんでした。


本当にいくなら??

なぜこれを根拠にCDCが推奨しているかはわかりません。

基本的にはかなり弱い根拠を基に記載していそうです。

実際には治療可能な症例も多いのでしょうが。。

強いて使用場面を挙げるなら、意識変容で暴れてルート確保ができない神経梅毒患者なら考慮でしょうか??


UpToDate®ではCTRX筋注の際には250-350mg/mlに溶かすとのことなので、2g筋注なら6-8ccの溶液が必要でしょうか。

筋注溶解用リドカインがちょうど3ccなので2gいくなら2本分を使えば筋注出来なくもないかもしれません。とても痛いと思いますけど。

こんなことが起きないようにお祈りが必要ですね。

ではまた。


結論:近畿中央病院のキャラクターといえばお馴染み、きんちゅうとぎんちゅう


2023/12/10

Antaaクリスマス特集号の季節が来ましたね。

スミヨシです。

今年もやってきましたね。
そう!Antaa クリスマス特集号の季節が!!


多分目標としては、BMJクリスマス号のようなユニークなスライドを募集しているのだと思います。

実は2021年にもあったんすよね。結論からいうと若干すべった企画にも見えます。。投稿数が少なめでした。
そんなユーモアのあるスライドを作れといってもなかなか難しいっすよ!

その時のラインナップはこんな感じでした。


クリスマスに関連があるかは不明ですが少なくともこんな機会じゃないと表に出てこない内容かもしれません。
他の先生方は有名人で、無名なの私だけでしたので、純粋にこの企画に応募して投稿したのは私だけで他の先生は案件だったんじゃねーかとすら思っています。




去年無くなった企画でしたが今年なぜか復活しました。

しかも確か2021年は企画が始まった時点で1例投稿されていたんですよね。
今思えば、企画用にスライド投稿するように根回しされていたんだと思うんですが、今年は企画が発表されてからもしばらく未投稿になっていました。

まあこれはやるしかないなあという勝手な義務感を抱き、今年も急ぎ作りました。




ユニークですねえ。
別にクリスマスに寄せなくても投稿可能なようです。
一応投稿者全員何かもらえるらしいですし、正直12/10現在 企画終了のおそれがある投稿数です。
皆さま是非。

2023/12/06

【症例】腸瘻の方の難治性鉄欠乏性貧血(再掲)

※2020年12月に書いた記事です。

スミヨシです。


40代男性、先天性疾患の影響で発達障害の腸瘻の方で鉄欠乏性貧血の方が外来にきました。

手紙をもっています


・肺炎をよく起こす方で、腸瘻は喀痰が増えたときに作成した(来院8か月前。)
・胃に異常があるわけではなく、解剖学的に胃につくるのが難しかった
・食事にも偏りがあり、経口も腸瘻も両方使用することがおおく、鉄欠乏性貧血は、成長期より継続してあり、ずっと鉄剤を飲んでいる
・腸瘻増設してから、6か月でHb低下、鉄欠乏性貧血が進行。
フェロミア50mg/day→200mg/dayに増量しても鉄欠乏が改善しない

上部下部内視鏡では異常なし。怠薬もなし。
採血はHb7台、MCV60台、Fe 10以下 TIBC上昇、フェリチン10以下

さて、みなさんどうしますか。

※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
---------------------------------------








問診してみると、腸瘻増設してから、フェロミアを口腔から投与→腸瘻投与に切り替えたみたいです。

経口投与、フェロミア50mgに戻したら、速やかに貧血改善しました。



鉄って、十二指腸で吸収されるので、腸瘻を十二指腸より肛門側の空腸で作ってると、体内に吸収されづらいですよね。







したがって、胃瘻ならうまくいくとは思いますが、腸瘻の方の鉄剤は注意を。
疾患群的に、腸瘻造設している方に鉄剤を投与する場面は限られているかもしれませんが。


あと、これは調べてもあまり出ないのですが、抗菌薬も、点滴ではうまくいってたのに、腸瘻からだとうまくいかないことがありました。
もちろん、bioavailabilityの関係かもしれませんが。。
たぶん、メトロニダゾールみたいに腸肝循環する薬やバンコマイシン内服みたいにそもそも吸収されることを想定していない薬剤ならうまくいくかもですけど、通常の抗菌薬ならなるべく点滴で投与の方がいいんですかねえ?

いずれにせよ、腸瘻の方の内服薬があまり効果がないときはもしかすると、吸収の問題があるかもしれない、と一考する価値はあると思います。


この症例も、どこかに出さきゃいけないな、とは思っています。。
コロナの忙しさにかまけてごまかしてますが、論文何それ状態なので、ちょっとそろそろだめだなとおもいつつ、2020年が終わりそうです。。
時間ないとかじゃなくやるきの問題なんですよね。
論文書いたら専門医もらえるならがんばれるのに。
厚生労働省さんなんとかしてくれませんかね。。


結論:ブログでは専門医とれないという説がある。