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2022/01/27

ダビガトラン(プラザキサ®)の食道炎と、その予防方法について

スミヨシです。


DOACはもうすっかり抗凝固薬の顔なじみとなった感があります。

私自身が処方開始することは少ないですが、服用している患者も多いと思います。

そのDOACの中で、上部消化管病変をきたしやすいものがありますが、知っていますか?


ダビガトラン(プラザキサ®)ですね。



ダビガトランによる食道炎

ダビガトランの副作用の中に、食道炎、食道潰瘍があります。

ダビガトラン服用者の非出血性の上部消化管有害事象をワーファリンと比較

⇀全体の16.9%vs9.4%

GERD+Gastroduodenal injuryに限ると、約8.3%vs4.3%

(Clin Gastroenterol Hepatol. 2013;11(3):246-52.e1-5.)


ダビガトラン起因性食道炎、剥離性食道炎など呼ばれると思います。

ダビガトラン起因性食道炎、剥離性食道炎

(日本消化器内視鏡学会雑誌 2017;59(4):456-7)

治療は休薬やPPIなど。



ダビガトランによる食道炎を防ぐには?

もちろん、「プラザキサ®を飲んでいる人の消化器症状には気を付けよう」

も大事なのですが、もっと大事なのはこれらをなんとか予防することだと思います。

もちろん最初からプラザキサ使わない、なんてのも一考ですが、まずは飲み方の指導ができているかどうかの確認です。


服薬指導が有用であったダビガトランによる薬剤性食道潰瘍の2例

(日本消化器病学会雑誌 2014;111:1096-104)

休薬しなくても服薬指導をすれば、改善した、というケースレポートです。

かなり有用と思っています。


ざっくりいえば、成分中の酒石酸が、食道潰瘍の原因になりうるので、食道内停滞を防ぎたい

⇀坐位で150ml以上の水と一緒に飲む、できなければ食事中に服用

服用後も30分は坐位を継続


ビスホスホネートもそうですが、このあたり、外来していると全員に言えていないなあと思います。

薬剤師さんから言ってもらえると助かりますね。。


プラザキサ®使用している方には雑談程度に胸やけなどの症状ないか聞いてみてもいいかもしれませんね。

ではまた。


結論:DOACの一般名覚えるのムリゲー

2022/01/25

「医師が診断すればコロナの検査をしなくても診断できる」は本当にできる?

スミヨシです。


1/24 厚生労働省から、コロナ患者の濃厚接触者は検査しなくてもコロナと診断してよい、という方針が発表されました。


濃厚接触者 検査なしでも医師が感染と診断可能に 厚労相


なんか、いろいろと騒がれてはいますが、実際に検査なしで感染を診断、というのはできるでしょうか?


なぜ検査無しとか言い出した?

今、全国的に、抗原検査もPCRも試薬が足りません。

外来患者のコロナの検査が気軽に出来ないです。


私の働いている病院でも、

院内感染を防ぐため、入院患者へのPCRを確保する

⇀発熱外来患者は外注のPCR(結果判明まで3-5日かかる)を使用

となっています。

検査数が確保できないことを肌で感じます。


よって検査をしてもしなくても陽性の可能性が高い、濃厚接触者かつ有症状者に関して検査しなくてもいい、という方針を打ち出して検査数を減らす狙いがあるのかと思います。


「みなしインフル」について

検査をせずに診断という点ではインフルエンザを想起します。

インフルエンザも、大抵抗原検査で陽性か陰性か判断していることが多いですが、別に診断に検査は必須ではありません。

発熱と気道症状、全身関節痛があり、家族がインフルエンザに罹患、という患者が来た際には検査せずにインフルエンザの診断をしています。

私は自分の研修医時代の先輩が使用していた言葉をお借りし、みなしインフル、と呼んでいます。


コロナはもうインフルと同レベルだ、とかそういう話ではないのであしからず。


実際に「みなしコロナ」は可能か?

各自治体の判断にはなるため、運用はまちまちになりますが、意外と難しいと思います。


▼検査をせずに診断、に意外と医者が慣れていない

私は初期研修を始めてから、ずっと師匠が感染症医ですので、検査をせずにインフルエンザの診断をしてよい、というのに慣れています。

ただ、多くの先生方は、そもそも検査をせずにインフルを診断した経験がない、と思われます。

違ったらごめんなさい。

さらに、検査をして診断、というのに、世間も医者も慣れきったと思います。

検査しないで本当に陽性って言えるんですか?という質問に対しては、説明できても理解していただくのは難しいです。

みなしインフルの経験をしていると、その時の説明をコロナに応用すると思いますがそうでなければ結構難しいと考えています。


▼検査をせずに診断するときの諸々が面倒

今のところ、検査をせずに診断した場合は疑似症例扱いになりそうです。

で、通常の疑似症例は入院だけ届け出をすればよいのですが、みなしコロナの場合には全例届け出が必要なようです。

結局陽性患者のときと変わらないですね。。

勿論業務軽減のための措置ではないのですが。


ハイリスク患者は、中和抗体の適応ですが、それらをみなしコロナで運用できればいいですが、投与には抗原もしくはPCR陽性が必要、であれば、そういった方には結局検査をすることになります。


あと、「検査しないなら診断書下さい」という人も増えるかもしれません。

それらの手間を考えると、大抵の医者は全員検査しよう、と考えるかもなあと思っています。


まとめ

とはいえ、明らかに病歴からコロナが疑われる、若年の軽症患者に関しては検査無しで説明して診断してみようかなあ、なんて思っています。

ただ説明をしたうえで検査希望の人とケンカしてまでみなしコロナを診断しようとは思っていないです。

というわけで、「医師が診断すればコロナの検査をしなくても診断できる」はできるけど、意外と浸透しないと思う!

が私の意見です。


ではまた。


結論:みなしコロナとみなしごハッチは韻が踏めそうで踏めない

2022/01/23

髄液糖低下の鑑別(再掲)

スミヨシです。

髄液検査で糖減少を見た際には、教科書的には、細菌性髄膜炎を疑うかと思いますが、実際には、ほかの疾患でも少し髄液糖が低いことを経験します。


髄液糖低下の鑑別

(Am J Med Sci.2014 ;348(3):186-90.)


髄液糖低下の鑑別


▼感染
・細菌性髄膜炎(ノカルジア・ブルセラ含む)
・真菌性髄膜炎
・結核性髄膜炎
・アメーバ性髄膜炎
・CMV関連の多発神経障害、髄膜脳炎

報告があるが、非典型的なもの
・神経梅毒
・ライム髄膜炎
・ウイルス性髄膜炎
・神経嚢虫症
・CNSトキソプラズマ症

▼非感染
・癌性髄膜炎
・GLUT1欠損
・悪性リンパ腫/白血病のCNS病変
・SAH

報告があるが、非典型的なもの
・クラリーノ症候群によるコレステロール誘発性軟膜炎
・神経サルコイドーシス
・リウマチ性髄膜炎
・CNSループス
・神経ベーチェット
・Dermoid cyst
・中枢神経系の肉芽腫性血管炎
・悪性萎縮性丘疹症




髄液糖は細菌による消費以外にメカニズムがある?

細菌性髄膜炎で髄液糖下がるのは、細菌による消費だから、で学生時代覚えていましたし、キャッチ―で分かりやすいですよね。
ところがTwitterでこのようなものを見つけました。


リンク先を見るに、白血球や細菌による消費もありそうです。

ただ、それだけではなく、BBBの糖取り込みが抑制されるから、みたいなことだとは思います。

世の中知らないことが多いですね。


実際、髄液糖低値の鑑別が臨床の役に立つ場面は限定的ですかね。

細菌性髄膜炎以外でも、髄液糖は減る、と覚えておく程度でいいかもしれません。

ではまた。


結論:髄液と不利益で韻が踏める。



2022/01/21

【症例】65歳男性 片目が急に見えなくなった

スミヨシです。

皆さんは医学をたしなむ中で、立ち尽くしたことはありますでしょうか?


私にはあります。

研修医の時の当直中に来た患者様に対して、意味不明で立ち尽くした記憶があります。

「片目が急に見えなくなった」

という主訴の方です。
何時何分、事細かに視力が消えた瞬間を覚えていて、そのうえで麻痺など無し。



・・うわさには聞いていました。
非眼科医が診ることの無いはずの、sudden onsetな視力消失・・


これはもう、Central retinal artery occlusionですね。
網膜中心動脈閉塞症です。

この日は運悪く眼科対応ができない日で、転院していただきました。
当直の先生が眼球マッサージしてて、すげー、なんて思っていました。

多分二度と対応することはないだろうと願っていますが、当時Wordにまとめたのが出てきたので、ブログにしておこうかと思います。
あくまで非眼科医のためのまとめです。


Central retinal artery occlusion(網膜中心動脈閉塞症)

いわゆる「眼の脳卒中」
sudden onsetの痛みの無い単眼視力喪失をきたす。
発症 1人/10万人ながら、視力予後は不良
(Am J Ophthalmol. 1999;128(6):733. )


診断

眼底鏡でのcherry red spot、網膜浮腫、網膜動脈の分節的な血流低下
(box-carring)がある。
眼底三次元画像解析(OCT)や蛍光眼底造影検査も診断をより確かにする。
(Neurol Clin. 2017;35(1):83-100.)

これを非眼科医がする時点で無理があると思うので、症状聞いた時点で眼科医呼ぶのでいいと思います。
他にやるとしてもせいぜい脳卒中の除外ですかね?

治療

古典的には、
 ①血栓除去(眼球マッサージ、t-PAやヘパリンの血栓溶解療法、レーザー治療)
 ②血流上昇(ニトログリセリンや95%0₂+5%CO₂吸入、高圧酸素療法)
 ③眼圧低下(マンニトール、アセタゾラミド、前房切開)
となるかと思うが、どれも明確に視力改善するものなし!

CRAOの診断された患者のうち、4%が1年以内に脳卒中を経験する。
アスピリン使用群、非使用群で発生率差なし。
(BMJ Open. 2019; 9(2): e025455.)

・・なかなか成す術なしですね。
血行再建術が有効かどうかはわかりませんが議論する余地がある治療はそれくらいかもしれません。


というわけで、もう非眼科医のできることないじゃん!状態ですが、知っておいていいこともいくつかありそうです。


網膜動脈閉塞症の人の合併症など評価

①頸動脈評価
基本的には網膜動脈閉塞症の患者は頸動脈の動脈硬化が多い、で覚えてよいです。
まあ、救急や内科外来で急いではしないでしょうけど。。

②心機能評価
心原性塞栓かも、という観点での評価が必要です。

③巨細胞性動脈炎の除外
これも急性の失明の原因になりうります。こちらはいち早くステロイドを投与すべき病態なので、炎症反応など確認必要ですね。

④凝固

頸動脈狭窄なし、心原性も否定された患者の中に一定数、血栓性素因をもつ者がいるので、検査を検討するべき(プロトロンビン遺伝子変異、プロテインC/S欠乏、抗カルジオリピン抗体など)。
(Eye (Lond). 2001;15:511-4. )

まあ、これら全部含めても、いち早く眼科医に相談、でいいと思いますが。。

後日、眼科の先生に聞いたら、すぐ連絡くれれば対応します、とのことでした。
眼球マッサージも親指で聞いたら、親指で10秒押して、10秒離すとかだけど、まあ、それよりも眼科呼んでと言われました。
施設間で差はあると思いますが、餅は餅屋、ということで。。


ではまた。

結論:将来、偉人になったらスミヨシクイズを作ると思うんですが、私が初めてお金を出して買った論文は?の答えは、"Update on the Management of Central Retinal Artery Occlusion"ですので、覚えておいてください。


2022/01/18

黒色肝といえば?

スミヨシです。


この前、黒色肝が話題にあがりました。

なんか聞いたこともありそうなフレーズですが、ぜんっぜんなんにも鑑別挙がんねえなあ、って感じでした。

帰り道に、Googleで「黒色肝」と検索してみました。



Googleの黒色肝のサジェスト


Google優秀すぎ!!!!!

1000億年ぶりに聞いた疾患ですね。。

 

と思ったら前さらっと触りましたね。。




Dubin-Johnson症候群

(StatPearls Dubin Johnson Syndrome review 参照)

(Best Pract Res Clin Gastroenterol. 2010;24(5):555-71.)


抱合型の慢性高ビリルビン血症をきたす。

常染色体劣性遺伝をとる遺伝疾患。

基本的には無症候だが、肝脾腫をきたしたり、黄疸をきたしたり。


診断のゴールドスタンダードがあるわけではなさそう?

肝機能の他の異常がなく、尿中コプロポルフィリンⅠ分画上昇がある。

肝生検はメラニン様色素沈着があり、診断の一助になるかもしれないが診断のために推奨される検査ではない。

遺伝子検査もあるが、臨床的意義は乏しいかも。

治療もなし。


Dubin-Johnson症候群の黒色肝

Dubin-Johnson症候群の黒色肝

(MEDBULLETS Dubin-Johnson / Rotor Syndromeより転載)


ABCC2遺伝子変異よるMRP2の欠損⇀抱合ビリルビンの胆管への輸送がうまくいかない⇀血中ビリルビン上昇というのがそもそもの病態です。

なんかその関連でエピネフリン代謝物が排泄できなくてどうのこうのみたいな感じだと思いますが、あんまり読んでてもわからないので諦めました!

さすがに有料の論文を買う気にもなれませんでした!!

不思議な力で黒くなります!!


ではまた!!


結論:別に黒色肝だからDubin-Johnson症候群というわけですらない

2022/01/15

AI(死亡時画像診断)まとめ

スミヨシです。

「AI」といえばartificial intelligenceが一番ポピュラーだと思います。

でも医学の世界で「AI」といえば、死亡時画像診断のことですよね。

救急の先生とかはこの分野得意かもしれません。

しかし、内科医がこの分野を勉強する機会は少ないですので、一度まとめてみました。


AIって何の略

これ結構言えない人多いと思います。


「オートプシー・イメージング」


これ最初に知ったの研修医の時で、カルテにAIって書かずにAutopsy imagingって書いていました。

完全にこじらせていた時期ですね。


AIはどの症例にとる?

個人的には入院患者が死亡されたときにはとっていないです。

救急外来での心停止では撮っています。


信頼できる学会かはわかりませんが、オートプシーイメージング学会が、ガイドラインを出しています。

内容はぱっと見、参考になりそうです。


【1】小児死亡全例(14歳以下)

診療の有無、死亡場所を問わない

【2】外因死およびその疑いがあるもの

・不慮の事故

・自殺/他殺

・死亡に至った原因が不詳の外因死

・外因による傷害の続発症、あるいは後遺障害による死亡

【3】診療行為に関連した死亡

・該当施設として死因究明にAiが必要と判断したもの

【4】死因が明らかでない死亡

・救急搬送、通院治療、老人施設、在宅介護等で死因不詳のものを含む

・病死か外因死か不明の場合

【5】その他

・医師が死亡診断書(死体検案書)の作成あるいは医学の発展のために必要と判断した場合

・遺族が死因究明を望んだ場合

・身元が明らかでない者の死亡

ひとまず、死亡診断書を書けない症例に、で良いと思います。


AIは実際に意味がある?

なかなか解剖の代わりにAI、というわけにはいかないかもしれません。

ただ、日本はあまり解剖をしない国なので、AIをとる場面は多いですし、少しはデータあるかな、と思って調べてみました。

PubMedでは、「mortem imaging」で調べるとよく出てきました。


放射線学(whole body CTorMRI)と、剖検によって特定された死因の不一致率

CTは32%、MRIは43%で、MRIの方が診断率は低い。

虚血性心疾患、肺塞栓、肺炎,は診断エラー率高い。

(Lancet.2012;379(9811):136-42.)

造影CTによるAIは心血管死に対する診断精度が高い

(PLoS One.2014;9(4):e93101. )


感覚的には、消化管穿孔みたいな明らかな腹腔内のイベントか、くも膜下出血のような頭蓋内イベントはわかるけど、それ以外は厳しい、なんて思っています。

私自身はAIで造影CTを撮像したことはないです。

もし機会があれば、とは思いますが、慣れていないと病院スタッフへの説明も難しいかもしれません。

もうすこしベテランになれば可能かもしれませんが。。


死因がわかるって、重要だと思っています。

気持ち的な面もそうですが、たとえば、家族が心筋梗塞で死亡した方の高コレステロール血症は、家族性高コレステロール血症としての対応が必要かもしれません。

腫瘍の家族歴も大事かもしれません。


なかなか日本の文化的にも、また病理医が少ない背景からも剖検が広がりにくそうですので、お世話になる機会は多いと思います。

ではまた。


結論:AIとクリスタルケイとsuperflyの歌や見た目での判別は不可能



2022/01/12

疑義照会で悪いやつを倒すゲームが出たよ

スミヨシです。





さて、今日はあるゲームを紹介したいと思います。
その名も、

疑義照会ウォーズ!!


Steamで遊べるゲームです。

内容は、異世界に飛ばされた見習い薬剤師が、本来であれば調剤してはいけない問題のある処方箋がなぜか大量に横行し、国中に健康被害が蔓延している現状を目にして、ただ1人の薬剤師として薬局の処方鑑査官となり「疑義照会」を武器にこの国にはびこる闇に対峙していく、という内容です。

まあ、ざっくりいうと、疑義照会しまくって悪者を倒すゲームです。




こんな感じ。
ちょっと画像荒いですが、膀胱炎の女性にレボフロキサシン 250mg 3錠分3で処方されています。
これは悪者ですね!!!



ちなみにこの問題は私が作ったやつです。

そう!
ほんのちょっぴり少しだけ、私も協力させてもらいました。

ただ、結構初期に問題提出して、そのあとはコロナで忙しすぎて協力できなかったので、ゲームのシステムとかどんな内容になってるか、どの問題が採用されているか、とかは知りません。

なので、別に報酬もいただいていないですし開示すべきCOIはありません。
このゲームがどんなに売れても、私に利益は無いのでご安心を!


わからない薬剤があっても、こんな風に調べることができます。
なるほどなるほど。


正直、ゲームとしての面白さなどはレビューを読んでください。

でも非常に勉強になるゲームだと思います。
薬剤師と医師以外はたぶんマジできついと思うのでおすすめしませんけどね!!


こんなこともしてまっせ、という宣伝でした。
ではまた。


結論:「疑義あり!!!」っていうフレーズに惚れ込んだ。

【症例】40歳男性、飛行機着陸時の頭痛(再掲)

スミヨシです。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

飛行機を降りた後に、頭痛がする、という方がいました。

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40歳男性

飛行機に乗って着陸するころに、目の奥を中心とした頭痛が発生。
いつもは頭痛もちではない。
来院時には頭痛消失している。
飛行機にのると2回に1回は頭痛がする。

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さて、問診で何を聞きますか?



もちろん、普通の頭痛としてのレッドフラッグサインを聞くことが重要です。

付け加えて、飛行機に乗ったあとの頭痛で個人的に鑑別にあげときたいのは、
飛行機頭痛と潜水病ですね。






飛行機頭痛

気圧変化で惹起される片頭痛様頭痛。
基本は着陸後突然発症の、鋭く激しい頭痛。
ただし、離陸時でも発症してよい。
30分以内に消失することが多い。
基礎疾患として、片頭痛、緊張型頭痛、副鼻腔炎など。
( 2017; 18(1): 84.)

離陸前のナイキサンもしくはトリプタン服用は予防に有用。
(Curr Pain Headache Rep2018 Jun 14;22(7):48.)

得てして、飛行機から降りた後、病院に直行したとしても、それなりに時間が経っているでしょうから、無症状のことも多いかもしれません。
ただ、患者の安心は得られるので、知っておいてバチは当たらないと思います。
私は自分の勉強のためと、副鼻腔炎の検索のために頭部CTを撮像しますが、典型的な病歴がとれれば必須ではないかと思います。

トリプタンはやや高値なので、安価なNSAIDs処方をしています。
まあ、確定診断の方法があるわけではないので、頭痛外来誘導でもいいかもしれません。


潜水病

正しくは減圧病と、減圧症と表記するのがよいかもしれません。
減圧病₌動脈ガス塞栓+減圧症

ダイビングの後に血中に溶解した窒素などの不活化ガスが、気圧の変化によって気泡化し、発症。
関節痛、筋肉痛、嘔気などが多いが、塞栓による脳症状もあり(巣症状やけいれん)
書いといてなんですが、頭痛は少ないかもしれません。

治療:
100%酸素投与
高圧酸素療法(US NAVY Treatment Table 6)
Lancet2011;377(9760):153-64.


宮古島や徳之島といった南の島で働いてる時には、そんなに珍しくない疾患でした。
札幌で働いていた時も、高圧酸素療法の機械がある施設だったので主治医としては見ていませんでしたが、沖縄や奄美などでダイビングしてから帰ってきていた人たちが発症していたのを見たことがあります。

画像でガスを探すのは難しいので、脳卒中疑いでなければ早く高圧酸素療法を行う、ということになっています。
それまではまずは100%酸素投与を開始します。

高圧酸素療法の治療は、US NAVY Treatmentというものに従います。
また、治療期間中は飛行機にのるのは禁止です。
よそから島に来た人は大変だなあと思いました。

鉄則として、
離陸12時間以内のダイビングは減圧病のハイリスクです!
複数回のダイビング後なら、48時間はハイリスクになります。
帰る日と相談してダイビングは楽しみましょう!
(Aviat Space Environ Med2002 Oct;73(10):980-4.)



ちなみに、症例の方は副鼻腔炎もちで、頭部CTで出血なし、副鼻腔炎の所見あり。
羽田→新千歳空港のフライトでしたので、ダイビングはしていない。
おそらく飛行機頭痛かと思い、NSAIDs処方しました。

まあ、こういう飛行機後の頭痛とかいう病歴をやたら過信すると、いつか脳出血やくも膜下出血を見逃すかもなという怖さもあるので、やはり致死的な疾患の除外からしていくのがよいかと思います。

ではまた。


結論:UpToDateにはアイスクリーム頭痛のページがある


2022/01/09

線維筋痛症について

スミヨシです。

以前線維筋痛症に触れましたがそもそも線維筋痛症をあまり知らないので、一応さらっと、線維筋痛症についてまとめました。

線維筋痛症

(Ann Rheum Dis.2017;76(2):318-28.)
(JAMA. 2014;311(15):1547-55. )

広範囲にわたる疼痛が3か月以上つづく
倦怠感や睡眠障害、抑うつ症状を伴い、関節炎や炎症反応上昇などは伴わない。

有病率は2-3%、とのこと。
診断がつくまでに医師の診断が平均3.7回、2年以上かかることも。

診断

UpToDate®では、1990年の米国リウマチ学会の分類基準と2010年の診断基準が紹介されている。

線維筋痛症ガイドラインは
「2010年基準あるいは2011年基準が簡便さから適応しやすいが,整形外科的疾患や精神疾患が鑑別診断に挙がる場合は1990年基準で確認する必要がある。」
と記載。

図はすべて線維筋痛症学会のガイドラインより引用

1990年 分類基準

(Arthritis Rheum. 1990;33(2):160-72. )

広範囲の痛み、および18の圧痛点のうち11か所以上で陽性



2010年診断基準

(Arthritis Care Res (Hoboken). 2010;62(5):600-10. )


圧痛点の評価は必要なし
大まかな圧痛部位や身体症状などでスコアリングする。




2011年診断基準

(J Rheumatol. 2011;38(6):1113-22.)

2010年のものを簡略化している。
身体症候が問診しやすくなっている。


2016年診断基準

(Semin Arthritis Rheum. 2016;46(3):319-29. )


多領域の痛みと、他の疾患は除外しない、という内容になった。





なんとなく、2011年版が使いやすいようには思います。

治療

EULARガイドラインでは、まずは生活指導や情報提供
難しければ個別化治療として服薬

生活指導
悪化要因:
①喫煙,②肥満,③心身の強いストレス
改善要因:
①有酸素運動,②徐呼吸,③禅,ヨガなどの瞑想,④温熱・WAON療法
⑤局所の冷却療法,⑥森林浴(アロマ療法を含む),⑦音楽療法
⑧適量のアルコール

これらの説明を行う

服薬

疼痛に関しては、プレガバリン、デュロキセチンが臨床経験が多い。
トラマドールも有効

古典的にはアミトリプチリン 10mg 程度から開始だが、日本では適応なし。


実際にはうつ傾向になることも多く、TCAやSSRIの出番も多いのかもしれない、と感じています。


なかなかとっかかりにくいし、不定愁訴、と言われがちな疾患です。
ただ、線維筋痛症は鑑別疾患や併存疾患も多く、総合内科医としてはなんとかうまく付き合うことができれば、と思っています。

あと、素晴らしいブログがありますので、それも最後に貼っておきます。
線維筋痛症の鑑別疾患・併存疾患なんか、だいぶ勉強になりますし、自分でつくるパワーもないのでありがたいです。

ではまた。

結論:自分でまとめているときに、上位互換みたいなブログ見つけてしまうと、いつの間にかミラーサイトのごとくパクっているが、無意識なのでセーフ



線維筋痛症の鑑別疾患と併存疾患


2022/01/06

【症例】85歳女性 毎週月曜から火曜日に傾眠傾向

スミヨシです。


前回の症例の続きです。

できれば先にそちらを見ていただく方がよいかと思います。



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85歳女性 
メトホルミン中止し、2週後には退院。
その後施設入所したがその1週間後、家族に連れられ受診

ここ最近、体調が悪いことがある。
ずっとではなく、ほぼ1週間に1回
熱などは無く、傾眠傾向で食事もとらなくなる
ただ、症状がでて1-2日で改善してくる
⇀丁寧に聞くと、毎週月曜日の午後くらいから火曜日の午後くらいまで調子が悪い
受診日はまさに月曜日午後の救急外来
受診の際も車いすに座って寝ている。

さてどうする?
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前回のことがあったので、血液ガスを採取、アシデミアなどはありませんでした。
ただ、血糖が40mg/dlであり、ブドウ糖静注し、血液培養などなどとって入院しました。

血糖補正すると、意識は改善、食事は次の日から食べられるようになりました。
入院後ビーフリードでみていましたが、特に低血糖遷延は問題になりませんでした。
血液培養も陰性のまま、お薬手帳でもぱっと見てもメトホルミン再開もなく、なんだこれ状態でした。。



で次の日、看護師さんから、

サマリーに、トルリシティ®を打つように書いてるが、これはどうするの?

と連絡。

なんだと。。
施設に聞くと、メトホルミンやめてから打ち始めました、とのこと。


というわけで、GLP1作動薬を毎週月曜の朝に打っていて、その影響が疑われました。

退院後、再度お手紙を書き、ひとまず糖尿病治療はせずに、いかがですかという文面で中止にしていただきました。

トルリシティ®はお薬手帳に入ってなかったということでした。

トルリシティ単独では低血糖は起こしにくいとは思います。
ただ、消化器症状をきたすことが多く、本症例もそれらが相まって食事がとれず、低血糖をきたしたのかな、とも感じました。
なぜ水木金あたりで改善してきたのか、といわれるとちょっと分かりません。
直感的には打った日に血液濃度が上がって副作用でやすい、というのは納得はできますが。。

いずれにせよ、周期性の症状の中には、週1回や月1回の薬剤が悪さをしていないか、という観点があってもよいかも、なんて思いました。
ではまた。


結論:けだるい時に、冗談で嫁に、月1回だけ男の子の日がくる、という話をして、調べるとほんとにあるかのような記載がうじゃうじゃ出てしまい、それ以来嫁が月初めは、男の子の日だから気をつかってくれて気まずい。

2022/01/03

Covid-19入院患者に対するコルヒチンは死亡・挿管を減らさない

スミヨシです。


割とコルヒチン信者の私ですが、コルヒチンが万能薬ではないことも知っています。

Covid-19に対して一定の効果があるかもしれない、という研究もありましたが、今回紹介する内容は残念ながら、コルヒチンがあまり効果が無さそう、というものです。

Twitterでみつけました。



以前紹介したものは外来ベースでしたが、今回のセッティングは入院患者ですね。


Effect of Colchicine vs Usual Care Alone on Intubation and 28-Day Mortality in Patients Hospitalized With COVID-19




▼アルゼンチン 1279人でのRCT
Covid-19で入院したうえで低酸素やARDSの患者
SpO2は両群で平均だいたい88%
CKD、授乳中、妊婦など除外


▼コルヒチン投与群vs非投与群
コルヒチン投与群は
初回1.5mg⇀そのあと2時間以内に0.5mgを投与 
その後は1回0.5mg 1日2回14日間or退院まで
両群の91.6%がステロイドでの加療
24.2%が抗凝固療法をそれぞれ併用されている。

結果

コルヒチン投与群vs非投与群

28日目時点での挿管or死亡
25.0% vs 28.8%(HR, 0.83; 95% CI, 0.67-1.02; P = .08)

28日目時点での死亡
20.5% vs 22.2%(HR, 0.88; 95% CI, 0.70-1.12)

セカンダリーアウトカムもありましたが特に目立ったものはなく割愛します。


コルヒチンの出番も限定的、というかあまりなさそうですね。
いまはモノクローナル抗体もありますし、早めに投与、の役割もコルヒチンには求められませんしね。

ではまた。


結論:コルヒチンはイヌサフランからとれるらしいけど、イヌサフランをカレーに入れると死ぬらしい。こわい。

2022/01/02

電子カルテ事業を行ってる企業に就職したいです

スミヨシです。

2022年になりましたね。
今年もよろしくお願いします。
福知山での勤務もあとわずかです。
まだまだ学ぶことはあるでしょうから頑張りたいですね。

今年の目標どうしますかね。
ダイエットとかにしてもいいんですが、目標を守れたことがあまりないかもしれません。

去年は何となく、専門医もっていない内科ガチ勢の人と話してみたい、という気もしていましたが、とくにそんな人いませんでしたね。
探す努力をしていたわけでもないかもですが。


まあ、それは引き続き探すとして。。
今年の目標、みたいなのはあんまりないんですが、最近なんとなく興味があることがあります。


電子カルテ×ブロックチェーン

電子カルテって、病院変わるたびに、いろいろシステムだったり使用だったり変わってしまうのでまあほんとめんどくさいんですよね。

それだけならまだいいんですが、せめて患者情報は他の病院とも共有できるようにしてほしいんですよね。
もちろん個人情報の問題などありますでしょうけど。

カルテ会社を統一、というのはいろいろな問題で難しいでしょうから、電子カルテ界にブロックチェーンが導入されれば、と思います。

ロックチェーンが何かは、中田敦彦のYouTube大学を見てください。





カルテに導入することで、先ほどいった患者の情報共有や他病院での処方状況、また、カルテ改ざん防止にもなるか、なんて淡い夢を見てます。

イギリスでは実際にこれが採用されているみたいです。
うらやましい!


調剤薬局×ブロックチェーン

そもそもこんなことを思ったのは、アステリアというブロックチェーンの草分け企業をしらべていて、これに興味を持ったからです。
いろいろ調べている中でも、札幌にある、header sub logo という会社のがとても面白そうなことをしているのを見つけました。


まあ、ざっくりいうと、調剤薬局って、個人経営が多くて、横のつながりが少ないんです。
また、薬が足りない場合、卸に連絡して、むずかしければほかの薬局に電話して、みたいなのが必要だったり、余っている薬の処分はコストが無駄になったりします。

それをブロックチェーン導入で解消してみた、という内容です。興味があれば読んでみてください。


別に医学が飽きたわけではなく、こういうカルテ事業に携われるなら、ちょっとそういう企業でアドバイザーしたいな、なんて思っています。
自分で事業立ち上げは難しそうですし。

あんまり企業が儲かる事業では無さそうかもですが。。

というわけで、2022年、というより今後の中期的目標として、電子カルテ事業に携わりたいなあ、なんてぼんやり思いました。

別に医師である必要はないのかな?
そもそも医師のアドバイスいるのかって話ですし。。
医師免許もってそういう仕事している人いるんでしょうか。
まずは電子カルテの作り方など勉強したいですね。

ではまた。


結論:ブロックチェーンとかメタバースとか言っておくだけでお手軽にITインテリ坊やになれる。