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2024/12/04

Lipodermatosclerosisについて

スミヨシです。


蜂窩織炎ってとても難しい病気だと思っています。
蜂窩織炎自体は抗菌薬投与とRICEをすればまま良くなる、かもしれませんが難治性の場合や重症の場合は鑑別どうするか、誰に相談するか、NSTIならデブリとかどうするかっていう点が難しいと感じます。

そういうわけで「蜂窩織炎mimic」というカテゴリは重要な訳です。

総合内科とかしてると、しばしば蜂窩織炎mimicを問われる場面がこれまでにありました。
教育的であればそれはとても素晴らしいことです。
しかし世の中には単に知識をひけらかしたり、マウントを取りたいがためにmimicの羅列を聞いてくる上級医がいるのです(私見)。

そんなクイズ好き好き上級医の意表をついて逆に蹴散らすのにうってつけなのが、このLipodermatosclerosisです。

クイズ好き好き上級医の鼻をくじくため、患者さんに適切な診断をつけるため、Lipodermatosclerosisを調べました。

Lipodermatosclerosis





皮膚の色素変化と硬化をともなう、逆シャンパンボトルのような外観」です。

報告は両側が多い印象がありますが片側のことが多そうです
(Mayoのレビューでは両側45%)。
圧痛があってもよさそう。

病態は、

静脈うっ滞
→浮腫と炎症
→ヘモジデリン沈着による色素沈着や、
 コラーゲン過剰生成による皮膚と皮下組織の硬化
→局所血流低下による足首付近での脂肪組織の萎縮・減少
→逆シャンパンボトル
とのこと。

女性、中年、高BMI、静脈異常と関連しているとのこと。
静脈瘤を55%に合併する。

うっ滞性皮膚炎との分岐はどこで起きるのだろうか。。
ちょっとよくわかりませんでした。


こういう病態ですので、潰瘍も起こすようです。
正直慢性経過になるでしょうし、蜂窩織炎mimicというより血管炎mimicになりそうな気がしなくもない。。(こっちは動脈ではなく静脈の問題ですが)


診断

基本的には臨床診断
エコーでも診断できる可能性はあるが一般化できるかは不明。。

治療

圧迫療法
→疼痛で難しそうですが、(Ann Vasc Dis. 2019;12:77–9. )とかで報告あり

スタノゾロール(Dermatol Online J.2008;14:1.

あとは伏在静脈逆流遮断とかの外科的手術だったり、ステロイド局注だったりをしている施設もありそうです。

というわけで、診断できても治療は難しい可能性がありますが、それでも知っておいてもバチは当たらないと思います。
ではまた。

結論:○○ミミックシリーズと○○カメレオンシリーズの違いはよくわからない。

2024/11/10

血液培養から「らせん菌」が検出されたときのエンピリック治療

スミヨシです。



血液培養の報告の方法は施設によりけりかと存じます。
そんななかでも「らせん菌」は割と同定しづらく、とりあえずその情報だけで治療開始することにななることを経験します。

血液培養から検出されるらせん菌

これはもう私見のかたまりですが、血液培養から検出されるらせん菌は、
 ▼Campylobacter jejuni/coli
 ▼Campylobacter fetus
 ▼Helicobacter cinaedi

とりあえずこいつらでしょう!(私見)
他のはどうせ16sないと同定できないし(私見)
上記の菌の鑑別は発育温度とかセファロチンのはいってる培地とかあるんでしょうが割愛です。
仲のいい技師さんか感染症医にでも聞いてみてください(私見)

じゃあ、血液培養かららせん菌が検出された際に一番多いのはどの菌でしょうか。

これこそ施設によるかと思いますが、自分は研修医がいる環境で育ってきたので、一番多いのはCampylobacter jejuniかなあと思っています。
いわゆるカンピロバクター腸炎の起因菌です。

腸炎症状が前面にでればほとんど血液培養はとらないかと思いますが、カンピロバクターは割と発熱+頭痛→遅れて水様便がでる、という経過をとるので救急外来でよくわからなくて血液培養をとられていることがしばしばありました。そもそも若年者の発熱に血液培養がいるのかという問題がありますが。

まあ、正直Campylobacter jejuniの菌血症も臨床的には抗菌薬なしで改善することが多いし、免疫不全の患者さん以外ではそんなに困らないかなあと思います。

血液培養から「らせん菌」が検出されたときにエンピリック治療が必要なのはCampylobacter fetusもしくはHelicobacter cinaediを想定する場合でしょうか。
その場合も免疫不全患者などはCampylobacter jejuni/coliから目を離さないというスタンスになろうかと考えます。

Campylobacter fetusHelicobacter cinaediは腸炎症状を前面にださないので、

「血液培養らせん菌」に関しては

患者背景と腸炎っぽいか確認
そのあと蜂窩織炎がないか確認。
なければ感染性動脈瘤や感染性心内膜炎、膿瘍をさがす。
そのうえでエンピリック治療になりますかねえ。

血液培養から「らせん菌」が検出されたときのエンピリック治療


結局のところ、感受性のわからない Campylobacter fetus, Helicobacter cinaedi, Campylobacter jejuni/coliに対して何を使うかという所になりますでしょうか。

自分は前所属の耳学問をそのまま流用し、メロペネムがよいと考えます。

対抗馬はABPCやCTRX、LVFX、MINOでしょうが、Helicobacter cinaediに対してはカルバペネム以外のβラクタムやLVFXがなかなか厳しいのと、fetusに対してのMINOとかデータすらなかなかないのでは、という感じです。

おそらくここは定まったものはなく、いろんな意見があると考えます。
だいたいは治療期間も長くなりますし、MEPM→感受性(というか阻止円)をみてde-escalationをできれば、という戦略がしっくりきてます。

まとめ(私見!!)

血液培養かららせん菌
患者背景と腸炎っぽいか確認(腸炎ぽければ状態と背景次第でAZMいくか検討)
蜂窩織炎がないか確認。
なければ(あっても?)感染性動脈瘤や感染性心内膜炎、膿瘍をさがす
まずは血管内感染と仮定して血液培養再検しつつ、MEPM

ではまた

結論:つい最近までJanne Da Arcの「rasen」はドイツ語と思い込んでて意味不明だった。

2024/10/30

【症例】70歳男性 帯状疱疹後の痛みが悪くなった




スミヨシです。


生きてます!!!!


いろいろありましたが!!


自分は専門医をとらずに働いていたので、僕の論調を後付けするものはぶっちゃけ所属組織だったかもなあなんて思ってます。

もはやそれも無くなり、医療系らくがきブログと化しましたが、ほそぼそ続けたいと思います。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

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70歳男性

X 左側腹部に皮疹、痛みが出現

X+1 帯状疱疹の診断。バラシクロビル開始

X+10 皮疹は改善。側腹部の痛みもほとんど改善していたが、左胸痛が出現し救急搬送


どうする?

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どうするもなにも、帯状疱疹じゃん、と思いつつ来てみると、皮疹のあった場所と疼痛部位は別でした。

まあ、そんな情報あろうがなかろうが初手心電図でしょうけど。





ああああ!!!!


というわけでSTEMIでした。


そこで、帯状疱疹ってSTEMIとなんか関係あるのかななんて思い調べてみました。


帯状疱疹と心血管イベント

調べてみるとそこそこ出てきました。


とりあえず長期的にはリスクが高い可能性があります。


NHS, NHSⅡ, HPFSのコホート参加者を用いた研究

⇀帯状疱疹後の冠動脈疾患発症リスク(multivariable‐adjusted hazard ratio)は、

帯状疱疹後1-4年 1.13 (1.01–1.27) 

帯状疱疹後5~8年 1.16 (1.02–1.32)

帯状疱疹後9~12年 1.25 (1.07–1.46)

帯状疱疹後13年以上 1.00 (0.83–1.21) 

J Am Heart Assoc.2022 ;11:e027451. 

まあ、正直交絡因子がなかなかありそうですし、数字も渋いし、長期的リスクと断定するのは難しいかもしれません。


さがしてみると短期的なリスク評価もありました。


Increased Myocardial Infarction Risk Following Herpes Zoster Infection

(Open Forum Infect Dis. 2023;10:ofad137. )


退役軍人のデータを用いたコホート研究

帯状疱疹を発症した71,912 人と 対照群2,093,672人

⇀ 30 日以内の心筋梗塞が、

帯状疱疹コホートの 0.34% (n = 244)

対照コホートの 0.28% (n = 5782) に発生

 (OR, 1.35 [95% CI, 1.18–1.54]; P <.0001) 


なお、50歳以下ではリスクを高めなかったことと、50歳以上の群でShingrixはMI発症を減らしたこと (OR, 0.82 [95% CI, .74–.92]; P = .0003)は注目ですかね。


なぜ帯状疱疹でMIが増えるかの言及はありませんでした。


この研究を臨床に使うとすればむしろShingrixの効果でしょうか。

もちろんShingrixを打つ人は予防医療をしっかりしている人であった可能性はありますが、MIリスクを少し減らす可能性があるのは患者に説明しやすそうです。

そもそもMIの発症はすくないものの、帯状疱疹になると心筋梗塞リスクが35%あがる、Shingrixをうったら心筋梗塞が18%減らせる、という触れ込みで誘導できたらいいなあ、なんて思います。


まとめ

・帯状疱疹罹患後は短期的、長期的にもMIのリスクの可能性あり


ではまた。


結論:どこかで医学してます!!

2024/08/28

【症例】30歳女性 台風がくるから頭痛がしそう

スミヨシです。


台風は結局何曜日に来るのか問題が勃発しているさなかですね。

台風は低気圧で、内科外来をしていると低気圧になると体調が悪い、という人がたまにいます。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

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30歳女性

台風が近づいており、頭痛がしそうな感じがする

数日前からなんとなく顔の圧迫感があり、それが増強している

昔からこういった症状がある。

市販の「低気圧の薬」を飲んだがあまりよくならず、処方希望


どうする?

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まず、みなさんは「低気圧の薬」ときいて何かパッと思いつくものでしょうか。

低血圧はないですよ。低気圧です。

まさかアセタゾラミドとか?とか思いながらパッケージを見せてもらいました。




その名もテイラック!!!

どうやら五苓散のようです。(https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2020/200325_01/


そりゃまあ、効かないこともあるでしょう!




まあ、ロキソニン®をお渡しして帰ってもらおうかなあとも思ったのですが、自分は成人の頭痛でこれまで未検査の場合にはCTをとろうかなと考えておりますので撮像しました。





副鼻腔炎やないかーい!!

ですぐに外来フォローもできないだろうなあと思いながらAMPCとNSAIDsを処方しました。


低気圧による頭痛

ひとまず低気圧による頭痛について調べてみました。

なんかこの手のものって日本語のものはすごい出るんですが、確立された概念なんだろうか、と思ってたら以下がヒットしました。


Meteoropathy: a review on the current state of knowledge

J Med Life. 2023 Jun;16(6):837-841.


Meteoropathyとは気象病?とでも訳すのでしょうか。

とりあえず気象病は一次性と二次性があるということがわかりました。

あとはなんだか、うつ病に関連があるかも、血友病の出血がふえるかも、人工膝関節術後の患者は気候の変動で痛みがますかも、みたいなのは書いてましたが全体的にはなんかよくわからないけどNSIADsがいいかもみたいな内容でした。


他には頭痛の要因として天候が作用するかをしらべた研究がありました。

ボストンの大学病院を頭痛で受診した7054人の患者を対象

病院受診前24時間の気温が5℃上昇するとERでの評価が必要な頭痛を生じるリスクが7.5%増加(OR1.075; 95% CI, 1.021–1.033; p = 0.006)

また、気圧は5mmhg上昇すると頭痛は減った(OR 0.939; 95% CI, 0.902-0.97; p = 0.002)

(≒低気圧だと頭痛の受診が減った)

Neurology. 2009;72:922–7.

ちなみに気圧が減ったら片頭痛以外の受診が増えたようです。

気圧に関連する頭痛がある、もしくは片頭痛以外で低気圧で増悪する頭痛の因子があるのかもしれません。

てか低気圧で片頭痛が増悪する気もするのだけどどうなんでしょうか。。


あと、副鼻腔炎は気圧と関係ない!!多くのweb pageは間違っている!というものを調べたものもありました。


(World J Otorhinolaryngol Head Neck Surg.2023;10:18-23. )


まとめ

・低気圧で頭痛の受診が増えるかもしれない


ではまた。


結論:最初から最後まで読んでも私が一体何を伝えたかったのはよくわからない。

2024/08/21

CRBSI(カテ感染)は複数菌感染のことが割とある

スミヨシです。




以前、ある病院のある患者のカルテで、

血液培養からCandida albicansとKlebsiella pneumoniaeが検出。複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的。尿培養は陰性。腹腔内感染の検索を行う

という内容の記載をみかけたことがありました。

まあ腹腔内感染の検索を行うというのはやぶさかではないのですが、それよりも

複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的

が気になりました。そんなの聞いたことないけど、かといって多菌種感染の頻度とか言えないなあ、と思ってしらべました。


CRBSIにおける多菌種感染


ひとまず、皆大好きUpToDate®を調べると、さっそく載っていました。


"Gram-positive organisms are responsible for most hemodialysis catheter-related infections. Coagulase-negative staphylococci and S. aureus together account for 40 to 80 percent of cases in most studies [4,22,28-32]. Gram-negative organisms account for 20 to 40 percent, and polymicrobial infections are implicated in 10 to 20 percent of all episodes of catheter-related bloodstream infections (CRBSIs) [4]."

というわけでCRBSIの10-20%は多菌種感染ですね!






元文献は有料で、大学で見れませんでした。。
Dialysis catheter-related bacteremia: Treatment and prophylaxis
円安の時代にちょっと論文買ってまで見る気しないですね。。
すいません。。

透析カテーテルのデータのようですが、まあ、通常のCVにも外装していいデータだと思っています。


ちなみに他のものとしては、

・在宅CRBSIの58.6%がpolymicrobial
・外来でCV挿入されている小児の菌血症の37%がpolymicrobial
・小児ICUのCRBSIの48%がpolymicrobial


なんて感じでした。
小児だと少し複数菌感染多いのでしょうか。

いずれにせよ、「複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的」といっていいpopulationはあまりなさそうな印象です。

自分としては、
・代替診断の無い状況で、複数菌菌血症であることを言い訳に、カテーテル感染を否定する(抜くべき場面でカテを温存する)のはよくない。
・ドレナージできるかもしれない病変がある状況での複数菌菌血症を、カテーテルのせいにするのはよくない

なんて思った次第です。

まとめ

CRBSIは割と複数菌感染のことがある。
Candida生えてるしカテ抜こうと言ってよさそう!

ではまた。

結論:「catheter」って「カテーテル」じゃなくて「キャスィター」みたいな発音じゃないかと最近疑い始めている。

2024/08/11

食道の魚骨の確認はCTがXRに勝る

スミヨシです。



この前久々に魚骨による食道異物をみました。

みただけで内視鏡の先生に対応をお願いしたわけですが。


正直消化管の異物の確認はCTでいいと思っていますが、もしかしてXRでもよいのかなあと思って調べてみました。


CTはXRにくらべて魚骨の確認に有用?

調べてみたら魚骨関係はアジアが多く報告しています。

Proposal for methods of diagnosis of fish bone foreign body in the Esophagus

Laryngoscope.2015;125:2472-5.

魚を食べた後の異物感を主訴に韓国の救急orクリニックに受診した286名

198名は口腔や咽頭に魚骨があった。

口腔や咽頭に異物がみえず、症状が持続する88名を対象にXR+CT

66例が画像で魚骨を確認できた。

40例が通常の魚骨 22例がえら 4例が顎骨


CTは65/66例 (98.5%) で検出

XRは30/66例 (45.5%) で検出 

先行研究ではXRの感度は23.5–54.8%でその範疇に入っている。

※存在したかは不明だがCTでもXRでも確認できなかったけどほんとは魚骨のある症例は分母から抜けているので真の意味での感度はこの研究では出せない。


ちなみに原文を読めなかったのですが、日本の研究で、水袋に魚骨をいれてXRとCTを撮像したらCTはよかった(?)というのがあって興味深いです。

※この論文はそもそもは32人の患者に内視鏡検査⇀実際に骨があった25例を対象。XRではこのうち14例で骨が観察できなかった、というもの。

(J Laryngol Otol.1998;112:360-4.)


まとめ

そういうわけで、まあ、こんなの研究にするまでもなくCTの感度がよさそうというのは分かったうえで、こういった研究があるのは心強いですね。

魚骨による食道異物には胸をはってCTを撮像しましょう。

症状やvitalでスクリーニングできるのかもしれませんが、消化管穿孔や膿瘍の合併例もあるのでそういった点でもCTがよいと思います。


あと私は全例内視鏡が必要と思っていますが、どういった症例で経過観察が可能かはよくわかりませんでした。

ではまた。


結論:フィッシュボーンDのDは意味不明

2024/08/09

E型肝炎について

2022/1/30 初回
2024/8/9 更新


スミヨシです。

急性肝炎って、病歴も大事ですが、採血してみないとわからないこともおおいと思います。
で、大都会札幌で育った私は、自然と「肝炎検索採血セット」にE型肝炎が入っていました。

京都にきて、肝炎を診たときに、

HEV出す?出さない?

で実はこっそり悩んでいました。
京都にゼロとはいわないですけど検査前確率が低ければおそらく必要ないですよね。
これって北海道で医学をたしなんで本州に来た内科医はあるあるなのでは思います。

そういうわけでE型肝炎について。

E型肝炎

IDWR 2004年第13号


E型肝炎ウイルスによる肝炎
原則急性で、慢性化はしない
糞口感染で潜伏期は2-10週間、平均6週間

大きく、4つの遺伝子型
HEV genotype 1,2 ⇀水系感染
HEV genotype 3,4 ⇀人獣共通感染

基本的には水、衛生、衛生、医療サービスへのアクセスが制限されている低中所得国での感染が多い。

イノシシ、シカ、豚(特にレバー)の喫食がきっかけになる。
国内では北海道の症例が多い。
(北海道は多分イノシシは少ないけど、豚が多い。シカも食べるけど、シカからの感染がどれくらいかは不明)

札幌市HPより抜粋
2016年 全国 356例 北海道 107例(うち札幌35例)
2020年 全国 449例 北海道 83例(うち札幌27例)
2023年 全国 552例 北海道   60例(うち札幌13例)


他では西表島民が突出して抗体陽性率が多い。
多分、イノシシ猟・生食の影響。
※ただ、沖縄県のE型肝炎の報告が多いわけではなさそう
(沖縄県住民へのE型肝炎ウイルス感染経路の推定:沖縄県衛生環境研究所報 第43号(2009))


輸血感染も報告がある。
そのため北海道の輸血はE型肝炎がスクリーニングされている。
※日本全体でも2020年8月からスクリーニングをされている
(Japanese Journal of Transfusion and Cell Therapy.2020;6(3):531-7.)

症状

発熱、吐き気、腹痛、嘔吐、食欲不振、倦怠感、肝腫大など、肝炎の一般的な症状
黄疸も40%で出現
(Clin Microbiol Rev.2014;27(1):116-38.)

劇症型の場合もあり、特に妊婦は死亡のハイリスク(1型が多い)
(Ann Intern Med.2007;147(1):28-33. )

検査

日本ではHEV-IgAが保険適応。(おそらくIgMと感度、特異度がかわらない)
陽性ならPCR

治療

対症療法
劇症型では肝移植も。

免疫抑制患者では3,4型の慢性化も指摘されている(6か月以上血液or糞便からHEV-RNA検出)
⇀リバビリン600-1000mg 12週間
(J Viral Hepat.2016;23(2):68-79. )

予防

流行地域では手洗い、清潔の保証がない飲料水、氷、非調理あるいは加熱不十分な肉類、貝類を喫食しない。

加熱
食品の中心部を75°Cで1分間以上又はこれと同等の加熱
(厚生労働省が、飲食店、家庭等で食品を加熱調理する場合に推奨)

中国にはワクチンがあるが、日本では使用できない。


北海道や西表島、石垣島で内科をやるなら、是非検査の検討を。
というか海外渡航歴には北海道と沖縄を入れた方がいいかもしれませんね。
ではまた。

結論:感染症勉強するとスナック菓子くらいしか食べられなくなる。

2024/07/31

家族が溶連菌咽頭炎を発症した無症状の妊婦は予防的治療すべき?

スミヨシです。


以前、知り合いの産婦人科医から連絡があって以下のようなことを相談されました。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

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30歳女性

妊娠25週の妊婦

X-2 同居の子どもが発熱+咽頭痛 迅速検査からA群溶連菌咽頭炎の診断となり治療

X 定期受診の際に、自身も治療すべきか相談

本人は無症状

子どもも解熱している。

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これはもう困ったもんですよ。

言うまでもなく、妊婦のGAS感染は激烈な経過をたどるパターンがありますので、注意しなければならないです。

一方で今治療を行うとそれを防ぐことができるのかと言われるとなんとも。。


そういうわけで調べてみました。

 

家族が溶連菌感染した妊婦の対応

UpToDate®の「Pregnancy-related group A streptococcal infection

それとPregnancy-Related Group A Streptococcal Infections: Temporal Relationships Between Bacterial Acquisition, Infection Onset, Clinical Findings, and Outcome

(Clin Infect Dis. 2013;57:870-6.)

を見てみました。

ですが、無症状での予防的治療に関しては載っていませんでした。


ただし上記の論文には、以下記載ありでした。

"Given the incidence of reported antecedent sore throat among women in our series (55.6% in the third trimester and 28.6% in both the 5–8 day and >8-day groups), pharyngeal screening for GAS may be warranted, particularly in those women whose family members include young children, especially those with active pharyngitis or upper respiratory illness."

→本研究で妊娠第3期の女性の55.6%、5-8日目および8日以上のグループではそれぞれ28.6%が、喉の痛みが生じたことをふまえると、特に、家族に若い子供がいる女性、特に現に咽頭炎や上気道感染症を患っている子供がいる場合には、GAS(A群β溶血性連鎖球菌)の咽頭スクリーニングが推奨されるかもしれない。


一方、これは妊婦では無いですが、別の論文では

"Asymptomatic carriage of GAS has been frequently noted among household contacts of patients with GAS pharyngitis. Up to one-third of households include individual(s) who will develop symptomatic GAS pharyngitis that warrants diagnostic testing and treatment. In studies examining the role of antibiotic prophylaxis of household contacts of patients with GASpharyngitis, penicillin prophylaxis has not been shown to reduce the incidence of subsequent GAS pharyngitis."

(Clin Infect Dis. 2012;55:1279-82. )

という記載がありました。

要するに予防投与を行っても発症率は変わらないようです。


少なくとも妊娠中or産褥婦の咽頭炎ないしは発熱に対して病歴次第で閾値低めに溶連菌のスクリーニングをしてもいいかもなと思いました。

無症状のうちに検査、予防治療を行うべき推奨はなさそうです。


妊婦の溶連菌検査は閾値を下げるべき?

国内における、妊婦に対するGASの検査閾値を低めにする意見として、母体安全への提言2019 Vol.10(PDF. 妊産婦死亡症例検討評価委員会 日本産婦人科医会 )では、

「Centorスコアに妊婦で1点をふやすべき」

という提言がなされています。

しかしそもそも咽頭痛がないorその前に激烈な経過になる症例があるのでそこをどうするかは難しいですね。

条件がゆるせば、咽頭炎が無い発熱の際にも溶連菌も選択肢かもしれません。


まあ、産褥婦ならさておき、妊婦をどこまで侵襲性GAS感染のリスクとするかというのもありますが、医療者も患者も症状に鋭敏になったほうがいいとは思っています。


まとめ

・妊婦において少なくとも無症状での検査・治療の利益は不明

・閾値を下げて検査を行うことは意識してよいかも。


ちなみのこの相談には、子どもの発症も少し前だし、本人は無症状なので、経過観察および咽頭痛や発熱があったら速やかに内科に受診する、という説明をしてみてはと提案しました。(実際にはとくに何もなく経過したようです)。

ではまた。


結論:GBSやGGSはジービーエスやジージーエスと読むのにGASはガスと読むのはちょっとデリカシーが無いんじゃないかと思う。


2024/07/18

【症例】70歳男性 細菌性眼内炎で失明後の幻視

スミヨシです。

稀ですが、血液培養陽性症例で、そのあと急な視力低下、内因性の細菌性眼内炎をきたすことがあります。

たぶん、カンジダの血流感染があった際には、CVをぬいて、血液培養フォローして、眼科に紹介しよう、という一連の流れがあると思います。カンジダは眼内炎起こしやすい、というのは有名かと思います。

UpToDateみると、人種差があるみたいで、北米やヨーロッパでは黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が多いですが、東アジアではクレブシエラが多いみたいです。
個人的には、意外と黄色ブドウ球菌の細菌性眼内炎は見たことないですが、Streptococcus dysgalactiae(G群連鎖球菌)とかクレブシエラ、カンジダの細菌性眼内炎はしばし経験します。


以前経験した症例で70代男性、Streptococcus dysgalactiaeによる感染性心内膜炎と両側細菌性眼内炎の方がいまして、感染は落ち着いたんですけど失明した方がいらっしゃいました(※実際の症例からは菌名、病名、個人情報など改変しております)
穏やかな人でしたが、しばらくたってから、妻が刃物をもってやってきた、虫が見える、などの症状が出現しました。
さすがにせん妄だろうとは思いつつ、髄膜炎・脳膿瘍は否定しておこうと思い腰椎穿刺を施行しましたが特異的な所見はありませんでした。
会話は普通通り可能で、幻視?がくっきりと見えている、といった具合です。
さて、これなんでしょう。。




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というわけで表題のシャルル・ボネ症候群ですね。
まあ、あまり有名な疾患ではないですし、ちゃんとした疾患定義はないのですが、それなりに症例報告はあります。

シャルル・ボネ症候群


・急に視力低下・失明に陥った患者の、幻視 Curr Treat Options Neurol. 2019;21(9):41.


ということになると思います。
高齢者に起きやすいらしく(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK585133/)、それなりにしっかりした幻視エピソードがあることが多いみたいです。
下肢切断患者の幻肢痛ににた概念にも思います。

もう正直、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK585133/)が一番まとまっているのでこれを参考にすればいいと思います!!!!

ほかの精神疾患・せん妄の合併の有無で診断がかわるかはわかりません。

治療としては抗精神病薬やSSRI、バルプロ酸など列挙されていますが、とくに定まったものはなさそうです。

自験例は最初リスペリドン使用したり、昼夜逆転でデジレルを使用したりしてましたが、リハビリが進み、疾患への理解や需要をしてもらううちに自然と幻視は消失しました。

まあ、知っておいて得する場面は少ないでしょうが、変に精神科病院に転院させたりしなくてもいいかとは思うので、いつか役に立つかもと思って頭の隅においておくといいかもしれません。
あと、こういう症状を診たときに疾患名がいえると単純に知識ありそうでカッコいいので言えたらいいと思います。

うそです。たいてい知識マウントマンとして扱われます。医師の世界は厳しいです。

眼科ではあるあるなのかもしれませんが、内科ではそんなに急な失明を扱うことがないので、勉強になりました。
細菌性眼内炎でのシャルル・ボネとか多分ケースレポート書けるはずなのでコロナがおわったら書きます。。すみません。。。世に出さなくては。。
※追記 書いてない。世に出ない。


ではまた。



結論:アハ体験の99%は幻視

2024/07/15

S. dysgalactiae(G群溶連菌)はIEの典型的な菌から外すべき?

スミヨシです。


感染性心内膜炎(IE)は、持続菌血症から存在を疑うことがあるし、その菌血症の解除が重要です。

つまり、IEの診断、治療にフォローの血液培養がかかせません。

IEと確定している症例はあまり困らないのですが、問題はあまねくGPC菌血症に血液培養フォローが必要なのかという点です。


他院の先生から、


たとえばG群溶連菌の蜂窩織炎まで血液培養フォローが必要なのか


ということを聞かれたので調べてみました。

(というより師匠から教えてもらいました)


Duke-ISCVID2023

そもそもこの議論が生まれた背景に、Dukeのupdateがあります。

Duke-ISCVID 2023では、大基準の一つが、

・IEに矛盾しない菌が血液培養から2セット以上

となっています。


で、このIEに矛盾しない菌、以前はStreptococcus viridans, Streptococcus bovis HACEK staphylococcus aureus 市中のenterococcusだったんですね。

ところが今回からはS.pneumoniaeやS.pyogenesを除く全てのstreptococcus属、などが追加されました。

G群溶連菌の蜂窩織炎としても、2セット血液培養陽性で38℃以上の熱があればpossible IEということになります。


で、そういった症例がIEでないことを示すには、

・菌血症が速やかに消失すること

・心臓の画像検査でIEの画像所見がないこと

が必要になってしまいます。


Streptococcus dysgalactiae(G群溶連菌)はIEの典型的な菌から外すべき?

個人的にはフォーカスの分かっている、とくに蜂窩織炎がフォーカスの溶連菌に対して血液培養フォローをしたことはほとんどありません。たぶん。

感覚的にはStreptococcus dysgalactiaeのIE、特に蜂窩織炎からIEになるケースは相当珍しいと感じています。


で、過去の菌血症のレジストリをDuke-ISCVD2023の基準に再分類した研究を教えてもらいました。


Performance of the 2023 Duke-International Society of Cardiovascular Infectious Diseases Diagnostic Criteria for Infective Endocarditis in Relation to the Modified Duke Criteria and to Clinical Management-Reanalysis of Retrospective Bacteremia Cohorts

Clinical Infectious Diseases 2024;78(4):956–63


スウェーデンの4050の菌血症エピソードStaphylococcus aureus, Staphylococcus lugdunensis, non–β-hemolytic streptococci, Streptococcus-like bacteria, Streptococcus dysgalactiae, Enterococcus faecalis, and HACEK)を、2000 年の修正Duke と Duke-ISCVID で比較



上図の通りで、修正DukeでRejectedに分類されたもののうち、475例がDuke-ISCVIDではPossibleに分類され、修正DukeでPossibleに分類されたもののうち、Duke-ISCVIDでは13例がDefiniteに分類された。

Duke-ISCVIDを用いるとPossibleがすごく増えちゃうわけですね。



とくにRejected→Possibleに影響しているのは、S.dysgalactiaeとE.faecalis

S.dysgalactiaeの症例の多くは蜂窩織炎+発熱であったとのこと。

また、S.dysgalactiaeのPossible IEで実際にIEとして治療された症例は0だった。(Supplementary Table 1)

さらにDuke-ISCVIDでS.dysgalactiaeがIEリスクと示された根拠になった論文は、デンマークのナショナルレジストリの中でIEの病名がついている人で、最低2週間入院していた人を対象にしているため、病名の誤分類の可能性があると。

(Circulation.2020 Aug 25;142:720-30.)


⇀著者たちはS.dysgalactiaeは「IEに矛盾しない菌」から外すべきでは、と主張。


直感的には受け入れやすい主張で、S.dysgalactiaeのPossible IEは増えるけど、だれもIEとして治療されていなかった、ということになります。

もちろん細かな症例フォローがなされているかは不明ですが。


まとめ

Streptococcus dysgalactiaeはDuke-ISCVIDで格上げになったものの、実臨床ではIEの深追い(ルーチンの血液培養陰性確認、心エコー)は不要かもしれない。


僕がもともとこの意見なので、バイアスありありの記事です。

ではまた。


結論:昔、dysgalactiaeはGが入っているからG群連鎖球菌っておぼえたけど、pyogenesにもagalactiaeにもGが入ってた。

2024/07/06

Candida属に対するmicafunginとcaspofunginのMICのギャップってなに?

スミヨシです。




先日、他院とのカンファレンスで、

「このCandida、ミカファンギンとカスポファンギンのMICのギャップがあります」

という指摘がありました。

何を指摘しているのかもよくわからなかったので、聞いてみましたが、自分で調べるように言われました。

結果、本当にわからなかったのですが、調べた内容を羅列します。


Candida属に対するcaspofungin(CPFG)のブレークポイント


あんまり認識していなかったですが、そもそもEUCASTのCandidaのブレークポイントの欄にはCPFGの欄は全て「note」になっていました。
曰はく、

"3. Isolates that are susceptible to anidulafungin as well as micafungin should be considered susceptible to caspofungin, until caspofungin breakpoints have  been established. EUCAST breakpoints have not yet been established for caspofungin, due to significant inter-laboratory variation in MIC ranges for caspofungin."

と記載。
anidulafunginに感受性があれば、感受性はあると判断するけど、CPFG自体のMICは検査室間でばらつきがあるとのことでしょう。


Micafungin(MCFG)のMICでも代用できる可能性が高いとのこと。



CPFGのMICがばらつきの多い理由としては、以下が推測されています。

・caspofungin powder source
・stock solution solvent:溶媒
・powder storage time length and temperature
・MIC determination testing parameters


C. parapsilosis以外ではdisk diffusion testで22mg以上であれば、概ね感受性株かもしれない。


そういうわけで、MCFGとCPFGのMICのギャップというよりはCPFGのMICは当てにならない、ということなのでしょう。
たぶん。おそらく。きっと。そういうことでしょう。

anidulafungin, もしくは日本ではMCFGの感受性がよければCPFGを使用してもいいのかもしれません。
ではまた。

※追記
MICプレートがtreated polystyreneかどうかで変わるかも

結論:カスポファンギンをいつ使うかは全く知らん!!!

2024/06/11

急性リウマチ熱は診断できる気しない

スミヨシです。




みなさん、リウマチ熱を目の当たりにしたことはありますでしょうか。

「溶連菌ってなんで抗菌薬の投与期間がながいでしょうか?」

といわれたときにお馴染みのあのリウマチ熱です。
実際はリウマチ熱を防ぐことより扁桃周囲膿瘍の予防をしている役割が大きいのでしょうが。

さて、そんなリウマチ熱ですが、正直見たこともないし、症状もよくわかっていないなあって感じです。
溶連菌も増えてきたことですし、知っておいても損はないかもしれません。
小児科に多い疾患だとは思いますが、ひとまず調べてみました。

急性リウマチ熱


A群溶連菌(GAS)感染症から、約1-5週以内 (多くは2-3週) に続発する発熱・関節炎・心炎・小舞踏病・輪状紅斑・皮下結節などの症状を呈する非化膿性炎症

症状・診断

症状に関してはRevised Jones Criteriaの項目が、目立つ症状なのかと。

Revised Jones Criteria

Major
・carditis(心炎、でいいんでしょうか): 50-80%
・多関節炎: 60-80%
・小舞踏病 ※原文 Chorea: 10-30%
・有縁性紅斑・輪状紅斑: <6%
・皮下結節: 0-10%
Minor
・多関節痛
・発熱 (38.5℃以上)
・ESR 60以上 or/and CRP 3.0 mg/dl以上
・心電図のPR延長

皮疹ってすくないんですね。。
関節炎は移動性で大関節炎とのこと

日本は低リスク地域の基準でよくて

初回:Major2項目 or Major1項目+Minor2項目
再燃時:Major2項目 or Major2項目+Minor1項目 or Minor3項目

で診断基準をみたします。

心炎っていう表現ですが心内膜炎が多い、でいいんでしょうか。

日本において診断するには明らかに溶連菌陽性、咽頭炎の既往があるか、ASOの上昇があってほしいっすね。たぶん。

治療

各症状に対しては、ふわふわしてると思います。

関節炎→NSAIDs
心炎→ステロイドが取り上げられるけど、効果があるという証拠はない(けど投与されることが多い?)
舞踏病→自然に治まるけど、カルバマゼピンやバルプロ酸が使われる?重症例はステロイド?

ステロイドは実際に診たこと無いので使用する温度感がわからないですねー。
日本の文献はだいたいステロイド書いてる気がします。

抗菌薬はある程度決まってそうです。

一次予防
・ペニシリン筋注(27kg以下は60万単位, それ以上は120万単位単回)
代替としては溶連菌の咽頭炎の治療と同じようにアモキシシリンやバイシリン10日間でよいのかもしれません。

二次予防
・抗菌薬投与
-日本だとバイシリン内服かアモキシシリン内服でしょうが、二次予防も本当にそれでいいかは不明。でも代替薬もないか。。

心炎発症→心後遺症(弁膜症)あり:10年 or 40歳までの長い方
心炎発症→後遺症なし:10年 or 21歳までの長い方
心炎なし→5年 or 21歳までの長い方

期間ながいっすねー

おまけ
雰囲気をつかむためにMKSAP19をみてみました。

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Extension Questions Set 2
Rheumatology
Question 7を参照

18歳女性
38.5℃の発熱と両肘、手首の圧痛と腫脹
両肘頭に複数の痛みを伴わない結節
ESR 55 WBC 12500 ASO上昇 咽頭培養ではGAS陰性
診断は?
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いやあ、これはリウマチ熱っすねー!!
なんたってASO上昇でMajor 2項目満たしますからねー!!

あとは成人のリウマチの経過の報告もありました。
これよくASOとったなあってのが本音ですが。


そういうわけで急性リウマチ熱はやっかいなので溶連菌はきちんと治療しよう、ということでしょうか。
成人の場合、溶連菌の情報なしで受診した際に、パルボウイルスB19と鑑別するの難しいのでは、とか考えたけどどうなんでしょうか。
あと、溶連菌感染後反応性関節炎との鑑別はしらん。こっちは小関節と書いてるけども。
JIAとの鑑別はもっとしらん。

ではまた。

結論:実際はASOのcut-off値が分からなくて詰む。

2024/06/07

メジコン®による「おくび」

スミヨシです。

とくに役に立たない内容です。

なんとなくデキストロメトルファン(メジコン®)のことが知りたくなって副作用をみていたら、気になる記載をみつけました。




おくび!
いわゆる「げっぷ」ですね。

メジコン®の副作用について調べているものをみつけましたが、「Eructation」はありませんでした。
※あくまでabuseの患者群ですが。。


正直、これが記載されている理由はわかりませんでした。
それなりに消化器症状が出る場合があるようなので、その症状の一つで出るのかもしれません。

見かけたら症例報告できるかもしれませんが、臨床的に有意義かは不明ですね。。

そういや昔、上気道炎にはカロナール、アレグラ、メジコン、って機械的に出していて、メジコン→咳こんこん→咳に出す薬っていう覚え方をしました。

なんだこの内容。たぶん私はつかれています。さよなら。

2024/06/05

過換気症候群に検査は必要?

※2020/11/6 初回 2024/6/5 追記

久しぶりに過換気症候群に対する血液ガス検査を考える事があって、何か書こうとしたら昔の自分も同じこと書いてるのを見つけて再掲しました。


スミヨシです。


救急してると、たまに過換気症候群の方がいます。

過呼吸ってやつですね。


私は症状とSpO₂と、発症状況などから検査はせずに経過観察をすることが多いです。病院と患者層によりますが、大体経過観察になると思います。

ただ、結構研修医の先生は、上級医にコンサルトするため?に検査していることが多いなと思います。

血液ガスとってくれたりします。


もちろん、検査するのがだめ、なんてことはありません。

過呼吸の鑑別診断だけあげると、ACS、気胸、肺塞栓、甲状腺機能亢進、代謝性アシドーシス、敗血症など恐ろしい疾患・症候がラインナップされるかと思います。

有名どころではギランバレーがありますね。

なので、検査はどの疾患を除外するためにしたのかを必ず聞いています。


ありがちなのが、


「血液ガスをとったら、呼吸性アルカローシスでした。」


という感じで、なんにもマネージメント変わらないじゃん。みたいな。

そりゃ過呼吸だからアルカローシスでしょうよ。

じゃあ、その検査いる?って、老害と思われそうなことも言っちゃいます。。


血液ガスを見るのは、実は糖尿病性ケトアシドーシスがメインで高血糖を除外するためだったり、代謝性アシドーシスがメインであって、その代償に呼吸数が増えているのを除外した、とそういう発想が大事だと思います。

あとはAaDO2みてPEぽさがないかどうかとか。


ちなみに心因性の過換気症候群の血液ガスにおいて、動脈血液ガスのそれぞれの項目の中央値は、pH 7.47, PCO₂ 28.91,PO₂ 97.41, bicarbonate 22.2 という報告がありますので、乖離がある場合には少し注意かもしれません。

PLoS One.2015;10:e0129562.


ともすれば、過換気セット、みたいな感じで、検査をするために検査をしているみたいなことをよくみます。

マネジメントが変わらないとしても、頭を回転させなきゃと思います。


研修医の脳がとろけないように、どの検査でどの疾患を否定しているのかは、常に意識させてあげなきゃいけないな、この前思いました。


個人的には、急性発症で、胸痛とかなくて、発症から30分くらいで改善傾向にあって、若年(おおむね40歳以下)で、徐脈や過度の頻脈、血圧低下がなくて、低酸素血症もないなら、検査せずに一旦、個室に移動。本人の希望あれば、付き添いのかたに見守ってもらいます(たまに、付き添いが親とか恋人で、その方とけんかして発症した過呼吸の方とかいるので、その場合には、別室でまってもらうこともあります。)

でも上記でも初回イベントなら血液ガスはとるかもしれません。

あと低酸素を伴わない興奮状態の患者もわりと見守ることが多い気がします。

※UpToDate®では過換気症候群の症状に胸痛が含まれています。


みんなどうしてるんでしょ。

UpToDate®みたら、治療にロラゼパム使うとか書いてるけど、そんなにマネジメントは載ってないし、過呼吸を熱く語る人もいないし、みんなそんなに困ってないし、て感じですよね。

一回だけ過換気と思ったら肺塞栓の人がいて、そこからピルを飲んでいるかどうかは女性みんなに聞いています。

じゃあ飲んでいると言われたときに、マネジメントを変えているかというと、そうでもないです。。


あと、過換気の方の採血で偶発的にみつかった低P血症でコンサルトがきたことがありました。

何か鑑別ありますか?


ないです!(たぶん!!!ないですよね?)

呼吸性アルカローシスはATP生成などの不思議な力で細胞内シフトを起こして一過性に低P血症になるので、別に介入不要です。


まあ、ほとんどの場合大丈夫ですけど、やっぱり落とし穴がある病態は意識してやらなきゃいけないですね。

すくなくとも過換気やしびれが改善していないのに帰宅、とするのはやめといた方がいいかな、とは思っています。


アルコール飲みすぎの急性アルコール障害と思っている意識障害とかも注意ですよねー。


とにもかくにも、脊髄反射で診療しないように心がけたいです。なるべく。

ではまた。


結論:エヴァのカヲル君みたいな、口づけペーパーバッグは禁忌です。