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2021/12/31

2021年お気に入り記事 BEST5

スミヨシです。

2021年もいよいよ終わりを迎えようとしてますね。
今年はそれなりにブログ更新したかな、なんて思います。
論文書く書く詐欺でケースレポート途中で投げ出してるので、2022年こそはちゃんとします。

あと病院年越しも回避しました。
あいかわらず1月1日から勤務ですけどね!
結局専門医持っていない内科ガチ勢に会う、というのはできませんでした。
コロナ禍ですし。。

てかそんな人いるのかな。。

そんなこんなで年も明けようとしていますが、今年書いたブログの中から、私のお気に入り記事ベスト5を紹介しようと思います。
閲覧数とかではなく、ただただ、私の好きな記事を紹介していきます。


第5位 この症例は治療しなくて大丈夫?

第5位はこの記事です。大きな声では言えませんが実は宮迫さんのyoutubeはそれなりに見ていて、その動画の中で出てきたデータに反応した記事です。
なんだか内科ガチ勢らしさが出てて、僕がスーパー有名内科医なら確実にバズっただろうなあという内容です。

第4位 肉アレルギーの人がいたら聞くこと

第4位はこの記事です。
Twitterで某先生に紹介されたときはちょっぴり焦りました。
ぶっちゃけその先生のブログを参考にしていたので。。
僕がスーパー有名内科医なら確実にバズっただろうなあという内容です。

第3位 アナフィラキシーに対するH2Blockerは必要?

第3位は何とは無しに書いたこの記事です。
実はこのブログの、Google検索からの流入数が多いのがこの記事なのです。
ガスポラ、と調べると上位に表示されていた時期があったんですね。
僕がスーパー有名内科医なら確実にバズっただろうなあという内容です。

第2位 職場変更!J-osler ドロップアウト王手!!

第2位はこの記事です
こじらせてて好きです。
僕がスーパー有名内科医なら確実にバズっただろうなあという内容です。


第1位 ミヤBMの好き好き大好きポイント4つ!

第1位はミヤBMへの愛を語ったこの記事です。
白状しますが、自分のブログってあとから読み返すと吐きそうになるんですよね。
自分の文章って気持ち悪いんですよね。
でもこのブログの中で唯一、この記事だけは笑顔になれるんですね。
僕がスーパー有名内科医なら確実にバズっただろうなあという内容です。



以上です。
正直、自分にしては飽きずに続けられているなあ、という感じです。
グルメの記事とか正直もう不要だしこのままガチ内科ブログで運営します。
グルメブログはまたあたらしく作りますかね。。
では良いお年を。

結論:何年ブログやろうともリアルワールドでブログの話ふられるとなぜかめちゃくちゃ恥ずかしい

2021/12/29

【症例】85歳女性 血圧低下・痙攣・腸管虚血の無い乳酸アシドーシス

スミヨシです。


あっという間に2021年も終了ですね。

個人的には久しぶりに総合内科をして、初診などをして、久しぶりにいろいろな範囲の勉強をした1年でした。

去年はまさにコロナ漬けだったので。。


来年京都市に戻ると、しばらくは総合内科をメインで行わないはずですが、総合診療スピリッツを絶やさずに医療に臨みたいものです。


札幌で総合内科をしていた時に、出会った症例をふと思い出したので今年最後の症例にします。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
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85歳女性 
3日前から体調が悪い
明らかなバイタル異常は無いが、
pH 7.1 HCO3- 7  PCO2 20 Lac 15
痙攣はしておらず、チアノーゼなどもなし
血糖100 尿ケトン陰性 
CTで腸管虚血なし

さて次の検査、問診は?
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確か総合内科1年目の時の症例です。
血圧低下が無く、血圧低下・痙攣・腸管虚血の無い乳酸アシドーシスの鑑別、どれくらい浮かびますか?






僕の中ではこの時点での鑑別は、
VitB1欠乏と、メトホルミンの副作用のいずれかかなあ、と思います。

あとはSGLT2阻害薬の正常血糖DKAとか?
でも乳酸そこまであがるか疑問ですね。


VitB1欠乏は、たぶん不思議な力でピルビン酸がアセチルCoAになれずに乳酸がたまるという機序ですね。たぶん。

メトホルミンも不思議な力でブドウ糖⇀乳酸を増やしたり、肝臓の糖新生を減少させたりで、乳酸がたまるんですかね。
ここはまあ、僕にとってどっちでもいいところです。。





で、この人は、VitB1は問題ありませんでした。

医者にかかっていない方で、最近体力が落ちてきて、施設入所を検討。
医者にかかると、HbA1c 7.2%
2週間前にメトホルミン開始

という病歴でしたので、メトホルミン中止、一応ラクトリンゲルではなく、酢酸リンゲルで補液してたらいつの間にか意識など改善しました。

そういうわけで、珍しい、メトホルミンの乳酸アシドーシスでした。

メトホルミンは3錠分3で開始されていて、特に過量でもないですが、そもそもこの年齢のHbA1c 7.2%に治療が必要だったのか、あと、高齢の方にメトグルコを出すのをどこまで許容するか、て部分かと思います。
個人的に高齢者もメトホルミンでよいと思いますが、日本で医療をやる以上、注意は必要ですね。

相当珍しい例ですし、まあぶっちゃけ、乳酸アシドーシス起こっても致死的にならなかったよな、という経験から、メトホルミンの乳酸アシドーシスに過度にビビるな、というのが個人的意見です。

なお、メトホルミンによる乳酸アシドーシスは4.3/10万 人年、とのことで、相当レアです。
あまりこの副作用を恐れるのもよくないですね。
(Cochrane Database Syst Rev. ;2010(4):CD002967.)

この症例、メトホルミン中止、DMの治療もいらないんじゃないですか?という提案をしてかかりつけに戻しましたが、カムバックしてきました。。

なぜ戻ってきたか?
それはまた次回。

大晦日と年始には全然医学に関係ない更新をしたいと思います。

ではまた。


結論:よいお年を、という挨拶を大晦日に言ってはいけない、って誰が言い始めたか不明だが、本当かもしれないので、みなさん、良いお年を。

2021/12/26

m3.comの「第一選択薬はメトホルミン」の推奨消えるって記事は本当?

スミヨシです。

本当は線維筋痛症のことを書くつもりでしたが、ちょっと後回しで。

米国糖尿病学会(American Diabetes Association:ADA)の糖尿病の標準治療に対するガイドラインが発表されました。

それをうけて、m3.comで、こんなタイトルの記事が出ていました。

「第一選択薬はメトホルミン」の推奨消える


えー。。ちょっとかましすぎじゃないですかね??
Twitterでも多くの方がこの記事を取り上げていていましたが、元論文を読んでいない人も多そうだったので、目を通してみました。




ADA 糖尿病ガイドライン2022 薬剤選択について


ADA 糖尿病ガイドライン2022 糖尿病薬の推奨



この図が新しいガイドラインの推奨、ということです。
ひとまず、この図をみても基本は第一選択メトホルミンです。
原文は「First-line therapy depends on comorbidities, patient-centered treatment factors, and management needs but will generally include metformin and comprehensive lifestyle modification. 

ひとまずはメトホルミン+包括的な生活習慣の改善です。


メトホルミン以外を1stにする場面?

m3の記事の論調では、場合によっては、メトホルミン以外を1stという選択肢も出てきたとのことです。

ASCVD(アテローム性動脈硬化性心血管疾患:冠動脈疾患や脳卒中、末梢動脈疾患など)の既往もしくはハイリスク55歳以上で冠動脈、頸動脈、または下肢動脈狭窄が50%を超える、または左心室肥大のある患者など)、心不全CKDの患者群がそれにあたります。
これらにはSGLT2阻害薬投与やGLP1作動薬が好ましい、とのこと。

ただ、原文を読んだニュアンスとしては、これらリスクのある患者でのSGLT2阻害薬・GLP1作動薬は、血糖コントロールにかかわらず、予後を改善するので治療強化の必要がなくても投与するべき、といった感じでした。
ただ、メトホルミンを投与せずにすっとばすべき、とまでは書いてないように思います。

ようするに、心不全やCKDのある糖尿病患者が、メトホルミン投与でA1c 6.0%になったからよかった
ではなく、
メトホルミンだけで糖尿病自体をコントロールできているとしてもSGLT2阻害薬、GLP1作動薬を積極的に投与しなさい

という意味ですかね。
そういう意味ではこれら患者はメトホルミン入れる入れないにかかわらず、SGLT2阻害薬、GLP1作動薬を投与すべきなので、1st choiceはこっち、という解釈もできなくないですが。。


まとめ


個人的には、メトホルミンがそもそも死亡率低下や合併症抑制のアウトカムがありますので、これらリスクのある患者には最初からメトホルミン+SGLT2阻害薬を投与、という形をとる、ということだと思います。
これには賛成です。


そういうわけで、私の中の答えは、

m3はタイトル大げさに言いすぎ!!!

ですね。

いろんな解釈があっていいと思いますが、メトホルミンの立ち位置は揺らいでいません。
そして、もう、SGLT2阻害薬を入れない管理はそれなりに勇気が必要になってくるかもしれません。
職業柄、高齢者診ることが多く、体重減少がネックですが、それが問題にならない人には使わないといけない場面が多いはず。

ではまた。


結論:メトホルミンを使用せずSU剤ばっかり使用する医師と、SGLT2阻害薬を頑なに使用したがらない医師は本質的には似ている。

2021/12/23

線維筋痛症に絶食療法?

スミヨシです。


線維筋痛症疑いで絶食療法をされた、そのあとからずっと体調が悪い、という患者がいました。

診断があっているかどうかはともかく、絶食療法、というのが聞いたことが無かったので調べてみました。



線維筋痛症における絶食療法

(Clin Rheumatol.2007;19:24-30.)


基本的に、線維筋痛症に対しては、説明と、鎮痛薬、抗うつ薬などの薬物治療を行う。

抵抗性の患者に対して、選択肢にあがる?

UpToDate®や多くのレビューなどには記載がなく、注意。


方法

画一された方法があるわけでは無さそう。

日本の文献では、1979年の山本らのものが引用されていることが多く、慣習的な方法と思われる。

(Psychother.Psychosom.1979;32:229-40.)

原著読めなかったので、違う文献から引用

(Clin Rheumatol.2007;19:24-30.)

・絶食期間は10日間

開始2日前に5分粥、1日前に3分粥 

終了後1日目に3分粥、2日目に5分粥、その後は普通食

・水分摂取は自由

ジュースは、リンゴジュース、ニンジンジュースのみ可

・点滴

アクチット500mlにネオラミン3B1A,アデラビン9号1A混注したものと,アクチット500ml計1000mlの点滴を行う


海外の文献はドイツのOtto Buchinger氏が考案のものが使われている印象

(Forschende Komplementärmedizin. 2002:189–199.)

こちらは、

1-2日間の果物やジャガイモなどで800kcal/day 単食

経口下剤であるNatrium sulfuricumを飲みつつ、2-3Lの水分と、野菜スープを飲む。350kcal/dayを目標に7-8日間のカロリー制限

終わった後はリンゴをゆっくりと食べる。

野菜中心の食事をしつつ3日間ほどかけてもとのカロリーにもどす


結果

15例の線維筋痛症に施行し、VAS(視覚アナログスケール)ベースで、疼痛のスコアリング
⇀10例が有効であった。
疼痛の改善は絶食開始、3日目頃より得られ、4・5日目に一旦痛みが再燃したのち、飢餓感が表れる6・7日目頃より急速に軽快していく。

2例はdrop out
一人は空腹に耐えきれず、もう一人はスルピリドによる薬剤性パーキンソニズム出現、とのこと。
(Clin Rheumatol.2007;19:24-30.)


尿ケトンが出まくってたり(13例中11例)、refeedingのことを考えると、内科医としてはとても勧められたもんじゃないと感じてます。
これで病院受診が終了したならいいですが、そのあたりの言及はありません。
何科の先生がこれを実際にやっているかは興味深いです。

海外のものもありました。
こちらは、アンケート(FIQスコア)ベースで評価
短期的にはすぐれているが、長期的には効果はないかも
(Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:908610. )


実際線維筋痛症の加療は患者にとっても医療者にとっても大変だと思いますので、何かにすがる気持ちはわかります。
ちゃんと勉強もせずに否定もよくないので次は線維筋痛症をまとめようかと思います。

結論:中学生の時、毎週金曜日がカレーで嫌だったのでハンガーストライキを決行したが普通に食事抜きになって損しただけだった。


2021/12/20

【オムニバス】第0脳神経「終神経」・SIADとSIADH・処方のバリケード

BLEACHの王族特務・零番隊

スミヨシです。

今日はアカデミックなことは何一つありません。

うすいうすい内容なのでオムニバス形式です。


第0脳神経「終神経」

第0脳神経って、いうのがあって、しかも名前が「終神経」らしいです。
くそかっこいいですよね。
まず、0って最強感ありますよね。

BLEACHの王族特務・零番隊にしても、
ワンピースのサイファーポール"イージス"ゼロにしても。

しかも名前が"終"神経ですから。

ゼロなのに終わりて!
マーベラスかっこいい!!!

Twitterで見つけました。特に役立ってはいないので医学的には覚えなくてよさそうです。

SIADとSIADH

SIADHとSIADって言葉使い分けていますか?


SIADH:syndrome of inappropriate antidiuretic hormone
SIAD:syndrome of inappropriate antidiuresis

SIADは水利尿不全により体内水分貯留を生じるために,低張性低Na血症を呈する病態の総称で、その中に、ADH上昇で水貯留の起きるSIADHが含まれる、でいいんですかね。
まあ、UpToDate®様に載っていないのでどうでもいいですね!!!
誰が言い出したんや!!!

※追記
2024年現在、もはや私はSIADと言っています。


処方のバリケード

処方をして、その副作用で処方が増えていくことを、処方のカスケードと呼びます。
NSAIDs⇀浮腫⇀フロセミド⇀低カリウム⇀K補充
みたいな。

これを防ぐ試みを、処方のバリケードと私個人は呼んでいます。
語感といい、意味といい、気にいっていますが、全然広がりません。
みんな使ってください。そして広まった暁には、私がその考案者だと名乗り出ます。このブログが証拠です。
副作用に処方を出すのはやめましょう!
すすめよう!処方のバリケード!!

ではまた。


結論:もっと流行らない、処方のバリヤードという表現も存在する



2021/12/17

【症例】60歳女性 胸に変な線ができている

スミヨシです。


知ってたはずなのに、忘れていて、後日診断が分かった症例がありました。

主訴一撃のはずなのですが、、


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
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60歳女性
新型コロナワクチンを接種
次の日から左胸に索状物をふれるようになった。
(画像は参考)

モンドール病


(Tidsskr Nor Laegeforen.2018;138(9). )

診断、対応は?
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まあ、感覚的に、危ない病気ではなさそうかな

ワクチン打った後だし静脈炎みたいなやつ?

しかしこんなときにできる?

みたいな感じで悩みました。


本人の希望もあり、乳腺外科に行ってもらったらすぐに診断つきました。

しかも、聞いたら、それ知ってるやつじゃん、となりましたが。。

知識は引き出せないとなんにもならないですね。。



モンドール病(Mondor's disease)

(Intern Med.2018;57(18):2607-12.)


体表に触知可能なひも状の硬結を呈する疾患

良性の血栓性静脈炎


狭義?オリジナル?もともと言われていたモンドール病は、

胸腹壁前外側に出来るものだそうです。

部位は他に、陰茎背側・腋下手術後の上腕中部で発生します。


有病率

乳腺領域のものは、発生率0.07-0.96%

女性:男性=9:1から14:1程度

中年女性に多い

(Breast Dis.2015;35(1):73-6. )


危険因子

外傷、筋緊張、手術、乳房生検、衣類や包帯による静脈圧迫、静脈内麻薬、炎症など

治療

4-8週間で改善
場合によってはNSAIDsなど使用


というわけで、知ってたらなんて事の無い疾患です。
ワクチン接種後、というのは興味深いですが関係は不明です。

ワクチン接種3回目も続々とはじまるでしょうし、もしかしたらこのような症状が増えるかもしれません。

私は例によって写真を撮り忘れました。。
学会発表などの許可はとりましたが写真なしで発表できるわけもなく、てな感じです。

ではまた。


結論:モンドールチーズはマジでうまい

2021/12/14

「ハーフニカルジピン」は静脈炎を減らす?

スミヨシです。

救急でSAHや大動脈解離など来た場合、まず降圧、という場面ではニカルジピンを使用する場面が多いと思います。

札幌で救急をしているときには、ニカルジピンは原液で使用していましたが、他病院に転院の際に、ハーフで投与してください、と言われる場面がありました。

よく使用されるハーフニカルジピンは、

ニカルジピン 20mg/20ml+生理食塩水 20ml

合計40mlで持続シリンジにつなぐ、という方法です。


調べてみると、ハーフニカルジピンにするのは、静脈炎を減らすため、とありますが、実際には上級医の先生の好みで使っているのかなあ、なんて思っていました。
というわけで、ハーフニカルジピン、調べてみました。


ニカルジピンによる静脈炎

わが国でのニカルジピンによる末梢静脈炎発生率は25.7%-31.8%程度
(J Pharm Health Care Sci. 2017; 43(1): 45-52.)
(J Pharm Health Care Sci. 2012; 38(9): 541-6.)

ニカルジピン投与14時間以内に多い
(Am J Med 1988;85(3):331-8.)


米国の添付文書では、12時間ごとのカテーテル差し替え推奨

ニカルジピンの希釈

▼添付文書(日本)
0.01%-0.02% で希釈(1mlあたり0.1-0.2mg)
メイン点滴 45ml/h+ニカルジピン原液5mg/hでちょうど0.01%

▼UpToDate®:適正濃度 25mg/250mlで記載
▼the ICU BOOK 記載なし
▼ICU/CCUの薬の考え方、使い方 「原液で使用」

投与量や投与時間、速度で静脈炎発生率はかわる

(J Pharm Health Care Sci. 2012; 38(9): 541-6.)
(J Pharm Health Care Sci. 2017; 43(1): 45-52.)

九州大学ICUでの後方視的研究 
血管障害発生群(n=14)vs非発生群(n=27)

投与時間:40.99h vs 9.58h
相投与量:271.57mg vs 36.67mg
投与速度:50.52ml/h vs 40.00ml/h

濃度も関係あるかも

(J Pharm Health Care Sci. 2017; 43(1): 45-52.)

福岡徳洲会病院の後方視的研究 

ニカルジピンの濃度と静脈炎の関係

希釈率 4.23倍以上かつ、投与期間24時間以内は静脈炎低リスク


結局、メインの点滴がないと、希釈率は上がらないですし、ハーフにする意味がどれくらいあるかはわかりません。
単独ルートで投与の場合には多少静脈炎を減らせるかもしれませんね。

ではまた。


結論:ピザのハーフ&ハーフで、いろんな味を楽しめるようにした奴は天才そのもの


2021/12/08

COPD急性増悪に対する、CRPを指標にした抗菌薬投与を誰に使うか

スミヨシです。


カンファでCOPD急性増悪の患者に対しての抗菌薬が話題になりました。

CRP1くらいなので、これなら、抗菌薬不要では、みたいな話をしてましたが、果たしてそうでしょうか。

「CRPでCOPD急性増悪に対する抗菌薬投与を減らすことができる」

というフレーズだけが先走りしている感もあったので改めて元論文を読んでみました。



C-Reactive Protein Testing to Guide Antibiotic Prescribing for COPD Exacerbations

(NEJM. 2019; 381:111-20)

2019年のNEJMから

多分これのことだと思います。


まず、先行文献でわかっていることに

「CRP≧4以上かつ、膿性痰があるCOPD急性増悪は、抗菌薬なしだと、63.8%が治療失敗する」があります。

本文中でも記載ありますが、この論文が前提だと思います。


(Chest.2013;144(5):1571-1577. )

で、上記論文では、軽症、中等症を対象にしており、入院患者は除外されています。


そんなわけで、こっちのNEJMの論文もセッティングは外来です。


そのうえでイギリスの外来のCOPD急性増悪で、

・CRP 2以下は抗菌薬を処方すべきではない

・CRP 2-4 で膿性痰のある患者は抗菌薬投与が有益かも

・CRP 4以上は抗菌薬投与が有益である可能性が高い

という推奨のもとに、

CRP検査を行い、抗菌薬投与を行う群vsCRP測定しない通常群


Primary outcomeは

・4週間以内のCOPD急性増悪での抗菌薬使用

・2週間時点でのClinical COPD Questionnaire

です。

Clinical COPD Questionnaireは症状の質問票で、点数が高いと、COPDの症状が強い、という解釈でよさそうです。

0-6点で、10項目あり、0点は非常に良い、6点は非常に悪い


結果

抗菌薬使用

CRPガイド群vs通常群:57.0% vs 77.4%

CRPガイド群が有意に抗菌薬使用が減っている。


Clinical COPD Questionnaire

CRPガイド群が平均-0.19点と症状改善につながっている。


secondary outcome

色々ありますが興味深いのだけ。

CRPガイド群は325人、通常群は324人だが、

抗菌薬投与はそれぞれ、158回、234回とCRPガイド群の抗菌薬処方数が減っている。

抗菌薬副作用は両群で有意差はなかった。


とまあ、ざっくりこんな感じですか。


COPD急性増悪だけど、入院は必要なさそう、という患者もそこそこはいるはずです。その中で、また来てほしくない、悪化しないようにAMPC/CVA+PSLを処方することが多いけど、それをもう少し考えてみよう、とそういう内容だと思っています。

とりあえず、日本とイギリスの入院の閾値や、かかりつけ医制度の違い、抗菌薬の入手のしやすさ、などあるので一概にはいえないですが、入院患者や、明らかに肺炎像のある患者に使用していいデータではないとは思います。


っていうのを、ちゃんと言えたらよかったのですが、内容をきちんと把握してなかったのでスルーしちゃいました!!!


自分もそうなのですが、周りの若手の特徴として、有名論文はどこかの医者や医者ブロガーや医者ツイッタラーが読んでくれるので、その文面やフレーズだけ覚えてしまって、どの患者に使えばいいのか、が抜けていることが多いな、なんて思います。

自分が3-4年目のとき、研修医には自分で論文よまなくても誰かが読んでくれるから、ブログとTwitter探しまくれ、と教えてました。

ただ、指導医の立場になると当然、そういうわけにはいかないですね。

頑張りまくりマクリスティ!!!!バイチャロス!!


結論:義理の父がタバコ吸っていないのにCOPDと診断されていて吐きそう



2021/12/05

バクスミー®はつかいどころがあるかも

スミヨシです。

新薬の情報とかって皆さんどうしてるんでしょうか。

私が3年目、総合内科医として赴任した際、それはまあ、なかなかの薬剤説明のオファーがありました。
そりゃまあ、当然です。今まで総合内科のまともな医師がいなかった病院に、突如3年目の医師が現れたんですもの。
いいお客さんか、あるいは鴨か、あるいはネギか、それはそれはたくさんの製薬会社からの薬剤説明のオファーがありました。

医師3年目のとある日、薬のデギュスタシオン(金芳堂)という岩田健太郎先生の著書のあとがきをみて、感銘をうけました。
内容としては、神戸大学感染症科ではMRとの面会禁止、彼らは商売のプロであって、その素人であるわれわれ医師は簡単に手玉に取られる、という内容でした。

・・・なんか違う気もしますが、そうとらえました。

それからはすべての製薬会社の面会をお断り、そうこうしているうちにコロナ禍になったのでもう私には新薬の説明など来ないでしょうね。

実際この選択は正しいと思っています。
困ったときに、つい名前だけ知っている薬剤に手が伸びることは少し止まるようにはなりました(たとえば、新規に時効型インスリンを出すときに、以前はランタスを出していました。今は薬価からグラルギンにしています。)。

そんなこんなで、新薬は基本使わずのスタンスをとっています。
でも最近はCovid-19の影響で、使わざるを得ない新薬もあります。
そうなってくると、まあ、MRから直接話を聞かなくてもいいとしても、他の新薬の情報とかも、頭に入れておいていいのかも、なんて気になっています。

で、この前、ボスから、バクスミー®の話を聞きました。


バクスミー®



ざっくり、低血糖時の応急処置で使う、点鼻薬のグルカゴン製剤です。
もともとグルカゴンには注射がありますが、こちらの方が使いやすいですね。

もろもろ提示されているデータ的には、まあ、いずれにせよ低血糖発作を起こしたら、病院に相談なることも加味すると、応急処置的にはよいと思いました。
いや、データ出せ、てなるかもですが、そんなに大した比較試験もできませんし、なんか製薬会社の回し者になりそうなので、割愛で。。

特に、意識障害を起こす低血糖を起こす方や、小児では周りの方が使用できるのでいいかも、なんてぼんやり思っています。

で、まあ、こういう薬の情報、てか、医学の情報はTwitterで調べる時代なので、調べてみましたが、まま評判は良さそうですね。

薬価は8000円台と割高ですが、刺さるポイントはありそうです。
覚えておけばエピペン®みたいに使いどころのある薬だと思います。

あ、とくに開示すべきCOIはありませんのであしからず。

もちろん、古い薬はデータがそろっていて実績があるからこそ今も残っているのです。
新薬に飛びつかない医師でいたいですが、全く知らずに否定せずに、というスタンスも大事ですね。

ではまた。


結論:正直、接待されていたお医者さんたちはうらやましい

2021/12/02

急性胸部症候群

スミヨシです。

EM Allianceという、ERの若手の先生方が中心となって、文献紹介したり、イベントを行ったりしている集団がいます。
そこのメーリングリストはぜひ登録すべきです。

で、毎月症例問題がありますが、10月の問題が興味深いものだったので、紹介です。
タイトルはネタバレですが、聞いてピンとこないならまずは症例を診てみてください。

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急性胸部症候群、恥ずかしながら、初めて聞きました。。
知らない病気はまだまだありますね。
ネーミングだけだと、なんかあんまり大したことなさそうな疾患ですが、それなりに大変な病態のようです。

日本の真の首都、京都で医療をたしなむものとしては外国のcommon diseaseも勉強する必要がありそうなので調べてみました。


急性胸部症候群

Acute chest syndrome 、略してACS
急性冠症候群とややこしいですね

鎌状赤血球症患者の、発熱もしくは呼吸器症状もしくはその両方を呈し、胸部Xpで新規浸潤影を指摘できるものです。
(Br J Haematol. 2015;169(4):492-505. )
そもそもが、鎌状赤血球症の症状の中でも、Acute painful episodesと呼ばれる血管閉塞による疼痛発作が有名です。
典型的には、疼痛発作で入院してから48-72時間以内に発生
(Chest.2000;117(5):1386-92.)

急性胸部症候群の症状

上記の通り、発熱、胸痛、呼吸器症状が主。
腕や足の痛み、肋骨の痛みのことも。
(NEJM.2000;342(25):1855-65.)

治療

・疼痛管理
・輸血
・抗菌薬
・輸液や酸素投与
・VTE予防

・疼痛管理

経静脈的にモルヒネ投与(0.1-0.15mg/kg)
可能であれば30分以内に。
(JAMA.2014;312(10):1033-48. )
・輸血
早期の輸血は人工呼吸器装着、死亡のアウトカムを改善する。
(JAMA 2011;305(9):893–902)
重症の場合には交換輸血も考慮。。
・抗菌薬
推奨されているものはあまり少ないが、第3セフェム+マクロライド、が選択されることが多い模様。
・VTE予防
粘稠なので、ヘパリンでの予防が推奨される。


マジででくわしたら、血液内科の先生に泣きつきたいところですが、別に血液内科の先生が慣れている、とは限らないですもんね。。

日本の中心、京都に住むものとして、もしでくわしても最低限対応できるように備えられたらなあと思いました。
ではまた。


結論:京都の人は冗談抜きで、マジで、首都は京都と思っている